BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

シャーロック・ホームズの誕生日の過ごしかた/魔裟斗とコブラ/『事件』-180108。

1月6日は
シャーロック・ホームズの誕生日ということに
されている日だ。

ベイジル・ラスボーン版ホームズの実写映画
『緑の女 The Woman in Green』(1945年)
『闇夜の恐怖 Terror by Night』(1946年)
殺しのドレス Dressed to Kill』(1946年)

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を観て、
さらに小説
「バスカヴィル家の犬」
「踊る人形」を
読み返してたのしんだ。

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5年くらい前までは
ホームズの誕生日には
ケーキを買ってきて食べていた。
でも昨今は このように
映画やドラマを観返し、
小説を読み返すのを習慣にしている。

作品群すべてのうち、
『踊る人形』が いちばん好きだ。
(短編集『シャーロック・ホームズの帰還』に収録)
これよりおもしろいものは
ほかにいっぱいあるはずなのだが。
おもえば 初めて触れた「ホームズ」が 
わたしはこれだった。
小学校高学年という多感な時期の入り口に読んだ。
それでなにか特別 思い入れができたのかもしれない。

ラスボーン版ホームズの上記3作のなかでは、
『闇夜の恐怖』がなんとなく好みに合う。
あんまり停まらない長距離列車、
という準密室的状況で発生する
殺人事件、となると
オリエント急行の殺人』が
どうしたって思い浮かぶが まあそれはしょうがない。
終盤も終盤になってバタバタといっきに物語が
展開し始めるのがとてもせわしないのだが、
ホームズがしかけるアクロバティックなフェイクが
おもしろかったりして、楽しく観られる。
深刻になりすぎないところがいい。
あと、女優さんがすごくきれい。

ラスボーンのホームズはあまり知られてないようだけど
わたしは悪くないとおもっている。
(もっともわたしは やっぱり
ジェレミー・ブレット派なんだけど・・)
ルックスがかなりそれっぽくて 
わたしはなんの不満も感じない。
頭が良すぎてもはや変人というホームズのキャラを強調しすぎず
抑制ぎみに演じているのも、飽きずにみていられるという点では
良いようなかんじがする。
自信たっぷりなキャラもよく出ており、安心できる。
ヴァイオリンはぜんぜん弾けてないが。

このシリーズのワトソンくんはとにかくヌケてて
ホームズの足をひっぱる使えないおじちゃん設定だ。
でも原作のワトソンは優秀な医師で良識ある紳士でもあり、
ヌケてるおじちゃんというかんじじゃ決してない。
人物像が原作と乖離しているせいか、
このシリーズのワトソンくんにはファンからの批判が多い
(というか評価に値しないくらいの扱い)らしいのだが
聞くところによれば、ベイジル・ラスボーンは
ワトソン役を務めたナイジェル・ブルースの演技を
高く評価し、信頼していたそうだ。
ワトソンくんの人物像を、みててイライラしてくるような
ヌケ作に設定しようと決めたのは、当然、演出側だ。
ナイジェル・ブルースは役者として、オーダー通りの
仕事をしただけなのだから
すくなくともナイジェル・ブルースに落ち度はない。
役者コンビという意味では、ラスボーンとブルースの息は
じっさい、ぴったりだとわたしはおもう。

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・・・

きょう、テレビで、
格闘家の魔裟斗が、
毒ヘビと闘ってた。
ヘビの眼が
くりっとしていてかわいかった(^^)

・・・

11月、
「野火」「レイテ戦記」などで有名な
大岡昇平
「事件」の文庫版がでたようだ。
読売新聞の書評欄で見かけて 
おもわず二度見した。

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『理由』(宮部みゆき)という小説がある。
(傑作だ。暮れに書棚を整理したとき 
まよわず手元にのこした。)
作者はぜったい意識してたと思う。
大岡昇平の『事件』を。

『事件』・・・。
渋い。なにせ古い。
40年以上もまえの小説だ。
けれど タイムリーだ、ともおもう。
出版社が 何を考えたか知らないが、
わたしは「やるなあ!」っと感じた。
「シンプルにおもえること、平凡に見えることほど 
実情は複雑だ。隠された実情は、与えられる情報からは
けっしてわからない。疑問をもたないことには、
そして的確な手法をもって探りに行かないことには」
って、言おうとしている小説だから。
そういう姿勢こそ いま われわれに足りてなくて、
しかもとても難しいことでもあるとおもうから。

何回も文庫になったりべつの社から出たりしてきて、
そのたびに大幅に、書き直されてきたと聞いてる。

そのうちのどれが今回の文庫の底本になったのか。
最終バージョンかな。でもいつだってなんだって
最後が一番とも限らない。
わたし、最終バージョン読んだことないとおもうな

もう持ってるけど 底本が気になるから また買おう・・・