BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ゴースト・イン・ザ・シェル』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』-190609。

一日中、雨が降った。ずっと家にいて映画を観てた。
攻殻機動隊の関連シリーズの劇場版を3本観た。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』
原題:Ghost in the Shell
ルパート・サンダース監督
2017年、米

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眠気が止まらないくらいつまんなかった。
ひどい。ひどすぎた。
製作年は、今回観たなかでは、これが一番新しい。
CGを駆使した映像表現は、間違いなく一番すごかった。
あと、これだけ実写版なのであるから、
他2作と、まったく同じラインでは
評価するべきじゃないのかもしれない。
だけどなー。
おもしろくなかったもんは、どうしようもない。




GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊
押井守監督
1995年、日本

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実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観たあと、
ネットフリックスで検索したら、出てきたので、観てみた。
実写版は本作のリメイクという位置づけだったらしい。
こちらは圧倒的におもしろかった。
さっき『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観ていたときの
あの眠気は何だったのかと思うほど。
おもしろくて、理解したくて、何回も何回も
止めたり戻したりして楽しんだ。
だが、草薙素子とバトーの性格が
テレビアニメシリーズ
スタンドアローンコンプレックス』に比べると
ちょっと重いんだなあ、と思った。
スタンドアローンコンプレックス』のとき、
草薙素子はもっと、余裕があった。
自分のアイデンティティーに関する葛藤について、
(素子のような存在であれば、そうでない存在よりも、
当然、より強く持つだろうと予測されるたぐいの)
スタンドアローンコンプレックス』の素子は
すでにある程度、乗り越えているように見えた。
あんまりそういうことでうじうじ悩んでいなかった。
それが劇場版の素子は、この期に及んで気もそぞろなほど
葛藤しまくっていた。
また、『スタンドアローンコンプレックス』では、
バトーはもっと、軽口や冗談を言うのが好きな男だった。
わたしが攻殻機動隊に触れるようになったきっかけが、
スタンドアローンコンプレックス』だったためか、
ふたりの性格が、テレビアニメと劇場版とでは
ずいぶん違うように感じて、やや違和感があった。
あと、荒巻の声が、少し若返っていた。



イノセンス INNOCENCE』
押井守監督
2004年、日本

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色彩が華やかで、観ていて楽しかったという点では
本作が一番だった。話もシンプルで理解しやすかった。
ボートハウスの犯行現場の描写は尋常でなく凄惨だった。
ひとりで部屋で映画を観ながら「うわあ~・・・」と
思わず声を出してしまった。
鑑識課の女性研究者との会話は良かった。
電脳ハックの被害に遭ったバトーが、
民間人相手に銃乱射事件を起こすシーンや、
敵が仕込んだ疑似現実のループにはまり込んでしまう
シーンは、観ていてすごくおもしろかった。
1シークエンスが長いせいか、
ループの「振り出し」に戻ったときに、
観てるこっちも「2回目」であることを忘れてた。
バトーの性格が湿っぽいことについては
本作ではなんとなく腑に落ちた。


・・・

攻殻機動隊シリーズのファンの間では
草薙素子は「メスゴリラ」と呼ばれているということを
今日初めて知った。笑った。
部下のイシカワがアニメのなかで
彼女のことをそう言ったのにちなんでいるらしい。

・・・

なんというかなー

どうかな ウーン ど、どうかなあ
イヤほんと これだけしか今は言えないんだけど・・・
つまり・・・
攻殻機動隊』の世界で言うところの「ゴースト」への
価値の置きかたが、
実写版と、国産劇場アニメ版(&TVアニメシリーズ)とでは
全然違ったように思う。
「ゴースト」というだけでは、
攻殻機動隊』関連作品をまったく知らない人が
なんのことだかわからないと思うので、
まあ、ここはいったん「個性」と言い換えてみる。
人の個性を、どのようにとらえるか、というところが、
ハリウッド実写版と、国産アニメ版とで決定的に違った。
実写版はまさにその部分のとらえ方がまずいので、
かなしいほど安っぽく、ひらべったい
駄作になってしまっていた。
そうであるべきじゃなかったのに。
攻殻機動隊』を実写化しておいて、
「ゴースト」の扱い方を、なぜこれほどまでに
間違えることができるんだろうか。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』を作った人は、
逆に『攻殻機動隊』の何を観ていたというのだろう。

実写版からは、緊張感と圧迫感を感じることが
できなかった。
でも、アニメ版からは、ちょっと部屋の湿度が上がって
蒸し暑くなったように感じたほど、
ギリギリと締め上げるような、感覚を強く覚えた。

わたしは、人の個性は、
抑圧と不自由からのみ生まれると思っている。