BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

ちょっといちにち休憩しますわ/荒川弘「アルスラーン戦記」11巻-190511。

きょうから始まるはずだったことがあったが、
予定が変わり、
約2週間後から始まることに決まった。

じつのとこ このことでずっと
ひかえめにいっても毎秒ゲロ吐きそうなくらい
緊張してる。
自分で決めたことであるので
さいわい イヤとか苦痛とかいうのではないが
わたしにはこの心の緊張は 並大抵ではない。
おとといあたりから眠れなくなってきていて
ついでにブラックコーヒーか
飲むヨーグルト」くらいしかのどをとおらない。
昼は職場にいるので 休憩時に食べないでいると
周囲に心配をかけるから いちおう食事を口にするが
30分以内にはぜんぶ外にでてしまう。
なんかつねにおなかをくだしている。

ゆうべ 予定の変更がきまり、
帰宅後はお薬の力をかりて すぐに就寝した。
ひさしぶりにまともに眠ることができた。

こんなちょうしではあと2週間 身がもたない。
一人で考えてないでもっとまわりに相談したい。
猶予ができたことをまえむきにとらえて
しっかりもう一度 準備をしなおしたい。

・・・

今朝、目をさましてみると
だいぶ気持ちがマシになっていた。
2日くらい前に購入だけしておいた
荒川弘アルスラーン戦記」11巻を
読んでみる気になった。

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kc.kodansha.co.jp

ギーヴがイスファーンとぶつかって
陣営を離脱する場面、
サンマヌエル城の攻防、
そしてアルスラーンとエトワールの再会。

ギーヴ
「俺の心は変わりません」が
「陣営を離脱したいという考えは変わりません」
では じつのところなく
「殿下の力になりたいというきもちに変わりはありません」
である、という点が
彼らしくていい。
アルスラーンが自分をほんとうに尊重してくれていると
わかるからこそ あのように
ひとこと言う気になったのだろう。

ザラーヴァントはイスファーンと
なにかとはりあっているが
ギーヴと決闘したイスファーンのそばによって
気づかっている姿なんかはカワイイ。

トゥース、イスファーン、ザラーヴァント
それぞれのキャラクターが
はっきりと描き分けられていて
見ているとたのしい。
トゥースはゴリラみたいなルックスのわりに(?)
案外と保守的、慎重で口数が少ないが、屈強で頼りになる
イスファーンはマジメでいい男だがまだまだカタすぎる
ザラーヴァントはややケンカっぱやく単純で
いいとこのおぼっちゃんならではの悪気のなさが
幼稚にみえてちょっとイタイ。
でも、天真爛漫なところがあり、表情がクルクル変わり
よくもわるくもわかりやすく、わたしはけっこうすきだ。
原作ではたしか
国の土木事業などに民衆を協力させるとき
率先して楽器や歌で盛り上げたり
お菓子や小遣いをばらまいたりして
みんなを楽しませながらうまくノせる場面があった。
ジャスワントともちゃんと仲直りしてほしいがなあ。

オオカミを殺さないイスファーン。

作者が北海道出身で
ご実家が酪農業者というのもあり
動物の描写がほんとにみごとだとおもう。
生き物がみんな、かわいらしさと野生の烈しさを
あわせもって いきいきとしている。
鷹のアズライールや
ダリューンの愛馬シャブラングが
登場するのをいつもたのしみにしている。

パルス国のことだけでなく、
侵略者ルシタニア国の側の事情も
しっかりと描いているので
ルシタニアをただの悪者、とか単純にとらえずに
より多角的な視点で 争いそのものの
かなしさ、むなしさを
思うことができるのが いい。
王弟ギスカールを描くことでルシタニアのマクロを
エトワールを描くことでルシタニアのミクロを
それぞれにあぶりだしている。
サンマヌエル城の集団自裁のシーンは
とても悲惨なものだが
あれを数ページもつかって
ちゃんと画で表現したことは
けっこうな決意のいる選択だったんじゃないかとおもう

ギスカールには同情してしまう。
スゴくいい軍略家であり政治家だ。
思考にかたよりがなく 苛烈だが柔軟。
もし王であったなら、とおもうと
なんかきのどくなのだが
わたしごときが案じるまでもなく
タフな人でもある。

エトワールの行く末を しっているだけに
アルスラーンとエトワールのやりとりの
みずみずしさ、いじらしさのようなものに
胸をうたれる。
原作におけるエトワールのことをおもうと
涙がでてくる。
エトワール「星」というよりは
ひなぎくとか なにかちいさくてかわいい
一輪の野花のような存在だとおもう。