BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

花粉/太宰治「斜陽」「満願」/だんごむしからのカフカ「変身」-190306。

今年は花粉すごく飛んでいるなと感じる。
マスクしてないとかなりしんどい。
朝 会社に到着したとき
メガネをはずしてみると
レンズに花粉らしきものが
いっぱいついてる。
メガネを もしかけてなかったら
これぜんぶ
目に入ってたのか、と想像すると
それだけで もうかゆい。

・・・

太宰治の「満願」と「斜陽」
カフカの「変身」を
読み返してみた。

満願と斜陽はゆうべ
変身はきょう昼休みに
書店で立ち読みした。

・・・

「満願」

f:id:york8188:20190306222738j:plain

わたしはこれを持っているけど
ほかのなにかの作品集にも
おさめられているんじゃないかな。

青空文庫でも読める。

www.aozora.gr.jp

「八月のおわり、私は美しいものを見た」
・・・からの ラストシーンが
なんだかとてもいいなと
読むたびにおもう。
太宰の作品にしちゃ
スキッとして明るくて
すずしい香りがする。
高校か大学かの授業で習って、
このシーンを
鮮烈に覚えているという人は
けっこういるんじゃないだろうか。
それによくよく考えると
はじめからおわりまで、
また、伏線のはりかたも、完璧。
みなまでいわず スマートにぼかし
でも考えればちゃんと
答えがでるようにつくられている。
お医者さんがシンプルな
善悪二元論者であり
自分の細君を
悪玉に分類していた、とか。

「あれはお医者の奥さんの
さしがねかもしれない」
という一文。
「あれ」の解釈は二又に分岐する。
ふたつは
「年つき経つほど、私には、
あの女性の姿が美しく思われる」
でもって きれいにつながる。
太宰治 スゴイなやっぱり。



「斜陽」

f:id:york8188:20190306223314j:plain

www.aozora.gr.jp


中学時代に読んだのと
高校時代に読んだのと
大学時代に読んだのと
今回読んだのとであまり
印象が変わらなかった。
生きることに邁進するヒロインの
姿がとても印象的だ
自死を選択する ヒロインの弟の
きもちもよくよく理解できる。
ああいう意味でのいわゆる
「中二傾向」は
大人になってもずっと残るものだ
ああいう意味での中二傾向を
わたしももっているので
だからいまもわかるのだ。




「変身」

f:id:york8188:20190306223423j:plain

www.aozora.gr.jp

青空文庫版は訳者が
わたしが読んだものとちがう。

最後、どうおわるんだったけなと
急におもったのだ、ゆうべ寝る前に。
というのも わたしここ数日
腰が痛くてしょうがないので
接骨院の先生におそわった
ストレッチを
ベッドの上でやっていたとき
その姿勢が、ひっくりかえった
「だんごむし」みたいだなと
われながらおもって、それで
ザムザを連想したわけ。

ラスト
なにあれひどいね!!

でもそれ以上に
虫になって
会社の人 来ちゃってどうこう
の 最初のほうがかなりおもしろい
虫の姿で 部屋の内カギをあけて
外に出ようとして
錠前にとりついて 
アゴの力でカギをなんとか
ひねろうとして
「鍵が回転するのにつれて
彼は錠前の周囲を踊りまわった。
体もいまはただ
口ひとつで立っていた。
必要に応じて彼は
鍵にぶらさがったり、
あるいはまた全身の重みをかけて
鍵を下に押しもどしたりした」
新潮文庫 高橋義孝訳版)
笑っちゃいけないかもだけど
状況を想像すると
爆笑ものだ。

妹がザムザの部屋を
大掃除するところが
彼女の兄への思いやりと
表裏一体の支配欲みたいなものを
おもわせてすごく興味深い

ザムザの部屋の三方を囲むように
母と父のいる居間、
妹の部屋、
女中さんのいる部屋が
あるという 
家の構造もおもしろい
ザムザの部屋の
ほぼすべての面に
ほかの部屋につうじるドアがある。
変わってる。
舞台とかにできそうだ。

兄さんが
いつもどおりの時刻に起きて
会社に行かない、
わけも言わず部屋でぐずぐずしてる、
ただそれだけのことでもう
妹などはいやに動揺して
シクシク泣き出したりする。
家族がちょっと いちにち
寝坊したか何だかで
会社に行くべき時間に
起きてこないくらいで
泣いたりしないもんだと
わたしはおもうし
ザムザの父や母のように
なぜ部屋から出てこないんだと
問い詰めたり怒ったり
しないとも おもう。
でもザムザは
そういうことをされる。
しかも部屋の三方を
囲いこまれている。
筋を追ったところでは
両親がなにかの事情で
ザムザの勤務先から
金をかりているらしく
その返済などの必要もあり
ザムザひとりが家族を背負って
働かなくてはならないようだ。
冒頭の時点では
両親と妹は 働いてない。

ザムザのストレスをおもう。

なんか、内にも外にも
もう いっぱいいっぱい
なんだなとおもう。

不条理とかなんとかじゃなくて
いっぱいいっぱいなとき
誰もが一度はいだく
願望、それが「変身」だなと感じる。

ラストはほんと気の毒だなあ。

「ザムザ嬢が真っ先に立ちあがって
若々しい手足をぐっと伸ばした」。
もぞもぞと無意味に動き
しかも細くてたよりない
ザムザの手足と正反対だ。