BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-「三国志 三國之見龍卸甲 Three Kingdoms: Resurrection of the Dragon(2008)」-190111。

三国志
原題:三國之見龍卸甲
英題:Three Kingdoms: Resurrection of the Dragon
ダニエル・リー監督
2008年、中・韓

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DVDなどで何回か観ている。
あんまりおもしろくないけど
好きなところが それなりにある。

諸葛孔明がかっこいい。
ゲスなまでに頭がキレるところも
あれはあれでわるくない。
孔明は そのくらいでないと。

「長坂の戦い」のくだりは好き。
いつもここだけは
何回もくりかえし観ている。

劉禅救出作戦のところは壮絶。
劉禅の保護に成功するも
曹操軍の追撃にあって
赤ん坊を守りながらの死闘、
馬上から棍棒で頭をぶん殴られて
気絶しかけるが、ふみとどまり
敵兵どもをけちらし戦車を奪取、
奪えなかった車両は力任せに破壊、
そこへ、早々に死んだとおもわれた愛馬が
奇跡的に復活し 
追いかけてきたのをみて
戦車から馬に乗り換え
丘をかけのぼり
なんと曹操のいる本陣へ。
「孟徳」の銘がはいった剣を奪う。
近衛兵に間近にまで迫られるも 
曹操とつかのまの邂逅
「いつかおまえを倒してやる」
曹操の声を背中にうけながら
逃げおおせる・・・
ここまでの数分は
死に物狂いの趙雲の戦いを
アンディ・ラウが めちゃくちゃに
がんばって演じていてすばらしい。
「ゾーン」状態としかおもえない
鬼神のごとき戦いぶりだ。

趙雲の任務は
敵地にひとりで潜入し、
劉禅をみつけだして
連れ帰ることだったので
曹操の本陣に迫れたのは
完全なボーナスステージであり
音楽の曲調も変わるのがおもしろい。

敵本陣の兵に囲まれて
もはやこれまでかというときに 
背中の劉禅が元気に泣きだす。
それを聞いて呵々大笑する 
趙雲がすごくイイ。

曹操に名を問われて
「常山の趙子龍!」
「趙子龍!いつかお前を倒してやる!」
曹操がリピートする
「趙子龍」の発音が
音楽的だといつもおもう、
本筋には全然関係ないのだが。

趙雲の馬がいななきながら
ご主人を追いかけてくるところには
毎度のことながら涙ぐんでしまう。

この長坂の戦いのところだけは、
何回観ても 
緊張感やスピード感が
おとろえてこなくて、
いつもわくわくできる。
よくできているシーンなんじゃ
ないかなと わたしはおもってる。
三國志だなあ、って
かんじがちょっとするのだ。


趙雲が五虎大将軍の一角として
北伐の将に抜擢される儀式のシーンで
彼だけ妙にめだつ真っ白の衣を
鎧の上から着て現れるのは
主役とはいえ どうかとおもう。
曇り空の下 白が映えて美しいが
重厚感にかけ なんか弱そうに見える。
白はたしか 喪の色でもあるから
縁起がわるいかんじもするというか。
それに 五虎将軍では新参なのに
あんなふうに目立つかっこうでは
古株の関羽張飛に失礼と考えて
ほんとうの趙雲だったら決して
着なかっただろうな、と
おもう、というかそう信じたい。

兄貴分の裏切りの背景を
せっかくならもっとしっかり描けば
よかったのにと すこしおもうが
それにしても
ここというときに
趙雲が思いをはせるのは
まだ何者でもなく
兄貴分の羅平安とともに
立身出世を夢見たころの記憶ではなく
劉備麾下 五虎大将軍就任後
関羽張飛たちとの
幾多の共闘の思い出、というのは
けっこう 
はたでみていて切ない・・・
趙雲の兄貴分、羅平安は 
別に悪い男じゃないが
才覚にたけるほうではなく
剣も弓も趙雲ほどうまくない。
プレッシャーに弱い性格であり
チャンスがめぐってきても
ものにできなかったので
趙雲だけだった、
名をあげることができたのは。
羅平安は 関羽張飛となんて
口をきくこともゆるされない
一兵卒にとどまり
弟分の趙雲だけがスターダムを
かけあがっていく。
趙雲は どんなにえらくなっても 
あなたはいつまでも
おれの親愛なる兄上、と
敬意をもって
羅平安に接しつづけたが
その心のなかには
羅平安には近づくべくもない
高みへのぼりつめた者としての
思い出がつみかさなっていった。
もっとも 羅平安の前で 
関羽張飛のことを
「あの人たちは立派だったよ」
とかなんとか
不用意に語らないのが
趙雲だったろうが。
・・・そういった気配りも
弱い人間の心には
ちくりと刺さるものなのであり
羅平安は 悩みを深めた結果
弟分のやさしい思いを
最悪の形で裏切ってしまう。

地にあっては 羅平安を慕い、
その思いがたとえ届かずとも
天にあっては 関羽張飛との絆が
趙雲を待っている、
ということだろうが
人と人との関係とは
とても切ないものだとおもう。


まあ
あとはとくに・・・。
映画として考えると 
できはよくない。

正史とも 演義とも
あまりにもいろいろちがうのは
わかっていて わざと
そうしているようだから
なにもおもわない。

ほんと、
中国は歴史が長いなあ・・・
そのあいだにさまざまなことが
起こってきたが
それらの記録は虚実さまざま
質量とも うなるほど残されていて
ちょっとそこから切り取ってくれば
歴史ものの映画とかいくらでも作れる。
それに 中国史においては
悪事も戦争も人死にも伝説も
スケールがとにかく けた違い。
つまりネタに困ることが
なさそう、というイメージ。
そうかんがえると
何かほんとうにうらやましい。
歴史の厚みみたいなものが。