BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-「シュガー・ラッシュ(2012)」-181223。

原題:Wreck-It Ralph 
リッチ・ムーア監督
2012年、米

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movie.walkerplus.com


前作がアーケードゲーム
世界の物語だったから
第2作は「オンライン」なんだな、とわかって
納得。

いつものように
ちゃんとおもしろかった。
スキがなく無駄もなく 
そんなに気になるような穴もなく
なにより手際がいい。
伏線のはりかたと回収のしかたも
うまいなあ・・・
「オンライン」も観てみたいと
おもわなくもない。

ただ・・・

ラルフの性格がどこか
さだまっていないというか
動物的でおばかなかんじを出したいのか
現状に不満とストレスをかかえた
心の優しい力持ちを描きたいのか
そのへんがわかりにくかった。
共感しやすい素朴なインテリジェンスを
かいま見せることもあれば
すこしもあとさき考えるようすなく
だいじなものを破壊したり
仲間の命を危険にさらしかねないことをしたりと
妙に短絡的で、ちょっと頭が弱いかんじを
見せることもあって 
ラルフっていったいどういう男なんだろうと。
なにか キャラの根幹が
かなり深刻に ゆれていた。
でも、
「力の加減もしらぬ、野蛮な大男」
というふうに扱われてきたから
そういう性格にほんとになっちゃった、という
ことはあるんだろう。
ということは 
「自分の仕事はわかっているつもりだけど、
でも おれだってみんなと仲良くしたいんだ」
そんな 正直で温かい
きもちの持ち主の部分こそ、
扱われかたによって変質する以前の
ほんとうのラルフなのかもしれない。
たいせつにしてくれる人のことは、
たいせつにしようというきもちになる。
ほんとうに愛しているものしか、
人はたいせつにできないんだとおもう。
ラルフがちいさなヴァネロペを
抱きしめるときの 手のやさしさは 
とてもよかった。

また、
作品全体に、いいようもない気持ち悪さがあった。
この 気持ち悪さは、
わたしたちの社会にひそんでいる
たぐいのものとみて間違いがないが、
その含有量が かなり・・・
ちょっと引くぐらい多い、ということを
作り手は どれくらい自覚しているのか。

あと、キャラクターの表情の動きも
あいかわらずなんとも 気持ち悪い・・・

けど、ラルフが自分の持ち場に
誇りを持って臨めるようになった、
というのはよかったかな。
結局 実際的には 彼をとりまく環境は
そんなに変化しはしないのだが
本人のきもちの持ちかたによって 
ものごとのとらえかたが大きく変わり
いろいろなことに、
積極的に、すなおに取り組めるようになったのだ。
たぶんその「積極的、すなお」というところが
仕事仲間たちのきもちをも
動かした、ということだろう。
なかなか感動的だった。

ヴァネロペのほうはまあ
いろいろムリがあったような気はするが
まさかほんとに「追放です!」なんて
措置にはできないとおもうから
あれで妥当、ってところなんだろう。
ヴァネロペの真の姿を知って
みんなが手のひら返したような
態度をとるところはすごくイヤなものだったね。