BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

『ウインド・リバー』追記-180909。

※公開中の映画の内容に触れています。






きのう、『ウインド・リバー』の感想を書いたけど、
1日経って、考えがかわった部分がある。

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『レヴェナント』と 地続き、もしくは縁戚関係にある
映画だという感触はかわらない。
レヴェナントは米北西部開拓時代の物語。
冒頭からし先住民族たちの大抵抗にあい
血みどろの撤退シーンだったおぼえがある。
先住民族たちに不如意な生活を強いてきたことの背景には、
あの時代にされたことの復讐があるんだろうか。
・・・
それにしても、『レヴェナント』、傑作だったけど、
激烈すぎる展開の連続で、映像もあまりに壮麗で
一瞬も気がぬけず、観たあとほんとうに
フラフラになってしまったっけ。
二度とは観られないと、あのときは思った。
でもいまこうしてみると、
なんか、もう一度観たい。
観られるような気がする。
・・・


掘削場の聞き込みのシーンで、人を死なせすぎ、
あんなことにまでならないように
もっとうまくやれたはず、
あれは経験の浅い捜査官の判断ミスだったと書いた。

けど、わたしがおもうよりも
よりいっそう 治安が悪く
人の心もすさんでいるエリアの物語だから
あのようなことにもなりかねなかったのだと
理解しなおした。
理解しなおしたというか浅かった、考えが。
掘削場の仕事なんかに必要ともおもえないのに、
職員全員がふつうに拳銃を携帯していたことからみても、
わたしみたいなのの常識が通用するような土地じゃないのだ。
あとですこしネットで調べたのの受け売りだが
ウインド・リバー保留地は全体で、
日本の鹿児島県くらいの広さがあるそうだ。
アメリカはほんとうにひろいんだなあ。
そこに、数万人だかがすんでいて
警官は6人(映画の公開当時)しか配備されてない。
隣家といっても場合によっては数キロもはなれており、
雪にもなれば行き来できない。
これじゃあ自分がおかれた環境をくわしく把握して
安心することがむずかしい。
よそものを警戒するだろう。山や森の猛獣もこわい。
産業も働き口も乏しい土地、生活苦によるストレス、
暴力、アルコール、ドラッグ。
爆発寸前のすさんだ心をかかえた人たちが
疑い、おびえながら生きてる。

それじゃああんなことにもなるわなと。

根深い問題だ。

『ウインドリバー』は『レヴェナント』から時間が続いている。
昔やっていたことをいまもやっている、
途中で気づいてやめなかったから・・
いや、あんなふうに始めたから、こじれている、
という話になるのだろう。
保留地政策はその長い歴史のなかで無数の思惑が
複雑にからんできたのだろう。
だれもが完全に納得できるあらたな道などは
ないのかもしれない。
ただ、いまこうなっているいちばんの原因は
かき集め押し込めて放置したことではないかとおもう、
不安だったから。おそらくはめんどうくさかったから。
でもその選択こそが、のちの自分たちにとっての
不安の種をうみだしてしまったのでは。