BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

読書感想-倉阪鬼一郎「ブランク 空白に棲むもの」-180903。

調子をくずして
ほとんど寝て過ごした。


きのう図書館で読んだ。

倉阪鬼一郎
「ブランク 空白に棲むもの」(理論社)

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https://www.rironsha.com/book/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF-%E7%A9%BA%E7%99%BD%E3%81%AB%E6%A3%B2%E3%82%80%E3%82%82%E3%81%AE

先日読んだ「血の12幻想」(講談社文庫)というアンソロジー
倉阪鬼一郎氏の「爪」が収録されていて、
ことばがきれいでよかったのでおぼえていた。
きのういった図書館には
中学生~高校生くらいのときに
読むといいかもね、といった
「ユースエイジ」なんとかという棚があって
スタンダールやら清少納言やら
漱石やらのハイライト版や
田中芳樹上橋菜穂子などが
あつめられている。
本作は そこにあった。



赤川次郎の「三毛猫ホームズ」を
もっとダークにし
「超能力」と
乱歩の「少年探偵団」ものの要素を
つけたした、みたいなかんじだ。
ネコがでてきて、
なかのよい兄妹が探偵役、
妹にほれてるまぬけだが気のいい大男。
大男は探偵役の主人公の
れっきとしたアシスタントであるが
基本はなんでももりもり食べて
ムダなことしゃべってるだけで
あんまり役にたたない。
彼の親戚の天才将棋少年のほうが
事件解決に多大な貢献をする。
なかなかできる子で かわいくていい。

主人公の妹が
ネコことばをつかう、という設定は
ぜんぜんいらない笑。
冒頭で登場するアキバ系アイドル
完全にキャラがかぶってた点も
最後までじっくり読んでみたが
その必然性がまったくみつけられず笑。
単純に作者が
アキバ系アイドルっぽい
「うにゃー」「なんとかだにゃん」みたいな
しゃべりかたをする女の子を
出したかっただけとしか思えなかった笑
冒頭でアイドルを登場させたんだけど
背景キャラにすぎないから
すぐ退場してしまったので
さびしくなってメインキャラに
にたような属性を付与したのではないか。
物語的になんの必然性もないのに
たんなる自分の趣味性向をここまで露骨に
押し出してくる作家さんもめずらしい笑。

鼻につく部分がおおく
疑問はいろいろのこりまくったが
頁数は400ちかいわりに文字がすくなめ
情報もすくなめで理解に問題はなく
とまることなく最後までよめた

なにより
やはりこの作家さんはほんとうに
文がきっちりとしていて
なんということのない描写にも
どことなく品がありしかも読みやすい。
「ホワイトデスシンドローム」なるものが
(主人公は「白」ではなくブランク、空白だと
かたくなに主張しているが。)
原因も防止法もまったくわからないまま
世界にひろまっていくかんじは
さすがに怖くてよかった。


本がめっきり読めなくなり
むずかしいことを理解しようという
読書をするうえで必要だと
わたしがおもうところの
一種のがまんづよさみたいなものが
減退してしまってるのを
なんとかできんもんか
とおもって
こういう10代むけとか子どもむけとか
読んでみたのだが
ちょっと
そこまでぴんとこないなあ笑
筋力がまるでないヒョロヒョロ野郎のくせに
そのプロテインはだめだよとか
そんなトレーニングじゃちょっとねとか
口だけ達者な人みたいなかんじで
超ダサいんだが
ぴんとこないんだなあ。
でもあの図書館の棚には
まだまだたくさんいろんな本があった。
ほかにいい方法がおもいついている
わけでもないし
こっち方面の「回復トレーニング」を
しばらくはつづけてみるかなあ。