BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想「銀魂2 掟は破るためにこそある(2018)」-180902。

銀魂2 掟は破るためにこそある
(福田雄一監督、2018年、日本)

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https://movie.walkerplus.com/mv64165/

「優れたマンガ作品だから」というので
原作「銀魂」を読んだためしはない。
コミックス60巻あたりからは
読んでさえいない。
だけど、なぜだか、
たとえるならば
「しょうもなくって、あきれたバカで、
でもほうっておけないきょうだい」
みたいなかんじを あのマンガに
勝手に抱いていて
つまらないとか、つまるとか、
そういうことではなく、
生存確認をたまにしたくなる。
どうせまたなんか
愚にもつかないやっかいごとを
かかえてるか
わけわからん仕事とか
始めたといっちゃあ1年ともたずに
辞めるんだろうなとか
みえすいたバカさにへきえきしつつも
連絡がないとなんか
ソワソワしてしまうみたいな。


そういうのに似たものを
銀魂」の世界には感じていて・・・
自分でもほんとうに
ばかばかしいなあ、
ヘンだなあ、とわかるのだが。


銀魂、または空知英秋(呼び捨て)に関する
なにかしら
マンガでもいいし
アニメでも映画でもインタビューでもいいが
たまに、視界のすみっこにでも
ちょっとあってくれると
やや、いらっとしつつ
ほっとする。


さて
観てしまった本作だが
うーん笑。
あえて言うまでもないことなのだが
それをあえて言うと
映画作品としては、
どうしようもない仕上がりだ笑。
というか映画ともいえない笑。
高校生のなかよしクラスか
美大もしくは映像制作専門学校の1年生がつくった
文化祭の「出し物」
感覚としてはこっちのほうが近い笑。
批評家のだれかが
「叩いても叩いてもでてくる
モグラ叩きみたいな
にっくき福田雄一の粗悪映画」
といって
本作をこきおろしてたが
道理だ笑。

あと
銀魂をごぞんじないかた、
また、コミックスがいま70余巻でてるとおもうがそのうちせいぜい5、6冊をパラパラとお読みになった程度かな、というかたは、
本作が動員数ランキング上位だからといって
話題づくりのためになにもムリして
こんなものを観にいかれる必要はない。
そういうことなら「検察側の罪人」のほうが
まだなんぼかためになる。
本作はあくまで、内輪のおたのしみ、
それ以上のものとはいえない。
御身の人生のたいせつな2時間を
ドブにすててまでムリに観ることはない。
もちろん映画だけじゃなく
この感想ブログも。
それだけはいちおう申し上げておく。


だが
ファンとしては、
この映画が在ってくれることは
よろこび、そのもの笑。

・銀時役の小栗旬さんをはじめ、むりやり実写化するとしたらまあこうなるだろうな、そりゃそうだろうなという、すんなり納得の配役。ぎゃくにいえば「よくもまあここまできれいに全員揃えたね。よくみつけてきたね、こんなマンガからぬけでてきたみたいな人」。鴨太郎や万斎もだがなかんずく沖田が、目をみはるほど沖田。しかも見た目だけでなくキャラとしても沖田っぽさが出ていた。ファンが多そうなキャラクターだから配役にも力をいれたんだろうが、それにしてもすごい。


柳楽優弥さんが、ほんとにほれぼれするようないい男になって、まあ。


・橋本環奈ちゃんが超絶かわいい。クルクル変化する表情にくぎづけ。野に咲く白いガーベラの花みたい。鼻ほじりの演技もすばらしい。演技というかふつうに鼻をほじってた。


・箱根と江戸の距離感がおかしい。鴨太郎との告別は江戸に近いどこかまで戻って行われたということなんだろうか。
だけど彼のケガは、連れて移動できるほど軽くなかった。腕一本なくなってたし(出血がみょうに少なかったが笑)。
長距離高速移動が可能そうな手段としてヘリはあったが、あれは鬼兵隊のもので、しかも撃墜されていた。列車は大破、車も、使えるものが残っていたのかわからない笑。
もうしわけていどに夜にはなってたが、鴨太郎のケガの重さ、移動手段の問題、銀時が立ち会えたことの時間的な整合性、
どれをとってもムリがあるようにおもえてならない笑。
あ。エリザベスか、あの「バス」だろうか。
わからない。


・お妙の店のオーナーがおかしすぎた。長澤まさみさんが耐えられなかったらしく素で笑っちゃってた。


・銀時と万斎の一騎討ち、「マトリックス」シリーズみたいな映像表現をがんばっていたとはおもうが、残念なことになにをやっているのかさっぱりわからなかったし、これをいっちゃおしまいだがあのようなシーンである必然性じたい、なかった。バトルシーンのとこの音楽は、もっとやかましいかんじであるべきだった。間がもたなかった。あと銀時の服があれだけ暴れておきながらきれいすぎた。


・土方の受難と鴨太郎の陰謀事件の接続は、限られた時間のなかでギャグエピソードもいれつつ・・にしてはすごく自然でうまかった。だが剣が抜けなくなるくだりが残されていたことは疑問におもった。あれは原作の話のながれをこの先もふくめて完全に踏襲する意思がある場合にかぎり必要な伏線だとおもう。のこすならのこすで別にそれでもいいのだが、前もってアナウンスされていなかった。どたんばで急に剣を抜く抜かないで騒がれて「え、その伏線生きてたの!?」。しかもあとで「土方トッシー化のエピソードはもうやりません」とはっきり示唆されていた。剣のところはこのさいカットでかまわなかったとわたしはおもう。


・マンガを読んだときはよく考えた覚えがないけど、けっこう生々しく、シビアなことを描いたエピソードなんだなと、実写を観てきづいた。
「自分以外のやつはみんなバカだとおもっているのか。そのバカどもに認めてもらえないことが不満か。おまえはひとりだっただけ。おれにはおまえがほんとうに欲しいものが何かよくわかるよ。」。
鴨太郎と鬼兵隊の関係が原作よりも濃く、わかりやすく説明されていたおかげで、鴨太郎という人物の孤独と不器用さがよく伝わり、それだけに彼の心の救済を願わずにいられなくなるものがあった。


・・・
そんなところだろうか。
第3作があるのかないのか知らないが
そして、あるとしても、どのみちD級映画にしかならないことは火を見るよりあきらかだが
また忘れかけたころに
「元気な顔」をみせてほしいと
おもわなくもない。
マンガ銀魂はもうすぐ完結すると聞いているし、
そうなるとちょっとさびしいからな・・