BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

山口県の男の子が無事に見つかった/友だちが出産/「黒祠の島」-180816。

山口県で行方不明になっていた小さな男の子が
無事に発見、保護された。
みつけたのは70代にもなる
ボランティアのおじいさんだったという。
他県から車でやってきて、捜索にとりくんでくれたそうだ。
このおじいさんがメディアのインタビューに
応じているところを テレビでみた。
気のいい、元気いっぱいのおじいさん。
まっくろに日焼けしたとっても健康的なかんじの人だ。
足をふみしめ両手をふりまわしながら
捜索ルートを決めた経緯やなんかを
熱く語っていたのが印象的だった。

わたしは見つけてくれたのが彼で
当座のところ、よかったなとおもう。

こういってはなんだが
発見者が、彼のように積極的に前にでて
語ってくれる人であるおかげで
男の子とそのご家族とが
メディアの無遠慮な取材攻勢をある程度さけて
しずかな時間をすごせる気がする。

おじいさんも、メディアのあまりのやかましさに
もうかんべんしてくれ、とおもうときが
もちろんいずれはくるだろう。だが、
そのころにはおそらく国内外で 
ニュースにするべきほかのことが起こって、
メディアの関心がそっちに向く。
男の子とご家族は、ひきつづきゆっくりと
休養に専念できるのではないか。
と、おおげさなことをいったが せいぜい、あと数日だ。
どんなに長くかかっても、週明けにはこの件は
(当事者たちはのぞいて、)忘れられている。

・・・

10年来の友人が 赤ちゃんを産んだ。
初産で、いわば高齢出産
看過できない持病があり 
もと喫煙者
予定日よりも、たしか2週間もおくれた。
内心 心配がつきなかったが
母子ともにおおむね健康とのことで
他人事ではあるが 心からほっとしている。
写真がおくられてきた。
目鼻立ちのすでにしてかなりくっきりした
かわいい赤ちゃんが すやすやねむっていた。

・・・

小野不由美に「黒祠の島」(こくしのしま、新潮社など)
という小説がある。

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www.shinchosha.co.jp


九州の孤島で起こる凄惨な連続殺人に、
閉鎖的・排他的な地域性と、神道系の土着信仰がからむ、
ありそうで(成功例は)あんまりない
スリラー/ミステリーだった。
おもしろかった。いまも部屋に 文庫本がある。
わたしは、小野不由美の最高傑作は
屍鬼」でも「十二国記(本編)」でも
残穢」でも「東亰異聞」でも「悪霊シリーズ」でもなく
魔性の子」(新潮社)にほかならないとおもっていて
本作も あれほどはおもしろくなかった気がするけど
それでも その筆力に圧倒され、迫真性に感銘をうけ
なんといっても、ぐいぐいいけるスリルがあった。
犯人やトリックがわかってしまっても何度も読み返したくなる
稀有なたぐいのミステリーだ。

この小説のコミカライズを、
古書店でみつけた。

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買って読んでみた。
(幻冬舎コミックス山本小鉄子:作画、上下巻)

画には そんなに力が入れられていなかった。
だから、見て楽しむようなものではなかった。
(若い人もお年寄りも大人も子どもも女性も男性も
みんな同じ顔にみえるのと、
景色や建物などの背景が スゴイ適当。)
だけど、話がムダなくわかりやすくまとめられていた。
あ、あの場面ってそういう意味だったのか、とか
いろいろ 理解しきれていなかったらしい部分を
おぎなうことができた。
あの小説は、人物の相関関係や、登場する一族の血縁関係が
複数世代にまたがるうえに人数も多いし 複雑なのだが 
でもそこを理解できないとおもしろくない、というところがあった。
メモとかとりながら、かなりがんばって読んだおぼえがある。
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」や
中上健次の「千年の愉楽」みたいなののように。
源氏物語もそうだが・・・ま あれほどじゃないか。
コミカライズ版ではそこがかなり
理解しやすく、うまくまとめられていた。
会話が生き生きと表現されていたのがよかったのだとおもう。
キャラクターが語る姿を見ながらセリフを読んでいくと、
複雑なことがするっと頭にはいってきた。
神領家の相続問題の解説は 
小説よりもマンガのほうがよくわかった。

映画のノベライズ 小説のコミカライズ マンガの映画版
アニメの実写版・・・
もともとあるものが べつの媒体に焼き直されたとき
焼き直し版を「いい」と思えることは、なかなかない。
許せないとまでは思わないが、たいてい、がっかりさせられる。
もともとのものよりも おもしろくしてやる!みたいな
心意気が感じられなかったり、
足元をみられているかんじがしたりして
まず いい気はしない。

だけどこのコミカライズ「黒祠の島」は、
イヤだとおもわなかった。
原作よりもおもしろくしてやる!みたいな
気概こそ感じなかったものの、誠実だった。
すんなりとしていてわかりやすかったし、
乾いた雰囲気は原作によく沿っていた。
ラストシーンはかなりよかったような気がする。

こうなると久しぶりに原作の小説を読み返したくなってくるが、
探すのがたいへんだ。
部屋のどこかにあるのはそりゃまちがいないのだが。