BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

接骨院の先生とのやりとり。-180608。

2日まえ、近所の接骨院にいった。
空いていて、患者はわたしだけ。先生といろいろな話をした。

正直なところいうと死にたいと考えていると 話した。

先生は、
その死にたいは 死にたい ではない、と。
何か、違う気持ちの可能性があるから
ほんとうの気持ちをもっとよく考えて
真剣にほりさげろ、という意味のことをいわれた。

「だいたい肩がいたい腰がいたいって
マッサージ受けにきているやつが 死にたいわけねえだろうが」。

たしかに(笑)!!

似たことを考えることが何度もある。
死にたいとかおもうほど 心を追い込むことで
生きている実感をえようとしているのかもしれないと。
気持ちを的確に探りあてる必要があるんだろう。

「何が苦しいんだ。」

「みんなができることができてないこと。この年齢の女の人生の
テンプレートから逸脱していること。なのにどうにもできないこと。
だとおもうが。」

「おまえを『かわいそうな人だなー』とか思ったことはないけどねえ。
好きな仕事をやって楽しそうにしてたじゃないか。
たしかにほかの30代の女の人がやっていることは
なにもしてないっちゃしてないけど
生きがいをもってやっているんだなとおもってたけどね。
それに、結婚とか子どもを産むとか
そういうのをやりたいと本気でおもうのか。」

「おもっていない。」

「おもってないんだろうが。
みんなとおなじにできなくてなんとなく
『自分はこれでいいのかなあ』と考えるきもちはわかるけど
ほんとうにしたいかどうかは別だろうが。
苦しいのはそういうことじゃないとおれはおもう。
つらいことがあって仕事を辞めただろ。
仕事が生きがいだったんだから
ぜんぶなくなって体も壊して何もなくなって
生きがいがなくてつまらないんだろ。
つまらなければつらいのはあたりまえだ。
楽しく生きられなくてつらいんじゃないのか。」

「でももう前と同じように前と同じ仕事をする力は残ってない。」

「生きがいが仕事じゃなきゃだめとはかぎらないし
ほかの仕事が生きがいになるかもしれないだろ。
楽器をまたやるのもいいだろうし。
でもおまえは体が弱い。そこはわきまえろ。
生まれつきだから、あきらめないとだめだよ。
あきらめたうえで、その体で何ができるかを考えろ。
できないのに無理して早死にしようとしている。」

「ずばずば言うなあ。すごい傷ついた。」

「うるせえ。
心をこめてマッサージをして ケガもみてやったのに
死にたいとか考えるやつが悪い。
死なせるために治してるんじゃねえのによ。
考えて、やっぱりほんとうのきもちが
『死にたい』だ、という結論なら、おれに言え。
首の骨を折って死なせてやる。一瞬だ。」

「先生が犯罪者になってしまう。
先生に責任はありませんという遺書を書いておこう。」

「それが悪いとおもうならおれの知らないところで勝手に死んでくれる?」

「めちゃくちゃだ。先生がやってくれるなら安心とおもったのに。」

「それにしても、死んだらそんなにいいのかね。」

「わたしはいまのところそうおもってるんだけどねえ。
まあ死んだことないからほんとはわかんないね。」

「おまえの人格や思想の形成には
両親の離婚とかおふくろさんとの確執とかが
やっぱり からんでいるんだろうな。」

「理想が高すぎるのかもしれない。
家族に完璧な幸福を見すぎて
完璧じゃないなら要らないとおもうのかも。
完璧なことは自分にはむりだ、とか
完璧なものなど自分が手に入れることはできない、とか。」

「ふーん
いままで、何かあっても親に相談したことないんじゃない。」

「おぼえているかぎり1回もない」

「『なによ、あたしのほうがもっとつらいわよ』
という反応がきそうなイメージ。おれがおまえなら話す気なくすな。
おまえが物心つくころには、だんなとのことで大変だった計算だしな。
おまえが中学のときに離婚したとなると。40になるかならないかだろ。
まだこれからの年齢なのに再婚もしなかったということは
そんなこといってられないからって、人生を棄てたんだろ。
子ども3人だからな。だれも援助してくれなかったのかね。」

「叔父が、わたしの兄が成人するまで経済的な援助を。」

「叔父さんの嫁さんも理解のある人だな。おまえのとこ借家か。」

「持ち家だよ。」

「家を手ばなして金作って、とは考えなかったのかね。」

「家の名義は父で、家を担保にいれて借金していたから
売れなかったんだとおもう。
それに祖父が建てた家だから、守りたかったんじゃないか。」

「おやじさんは養育費とちゅうでやめちゃったんだろ」

「やめちゃったらしい。」

「養育費とか慰謝料とかって、大変なんだよ(笑)。
知り合いにも何人も、支払いで苦労してるおやじがいるよ。
ともかく、おふくろさんは子どものためにというんで
人生を棄てたくちだね。
息子を塾に送るくとき、車からおふくろさんをたまに見るけど。
ぜんぜんおまえ似てないよな。おふくろさんは
顔が暗くて 怒ってるのかな?ってかんじだけどね。
でもお前は外で見てものんびりしたよゆうのある表情をしている。
ほんとに血つながってる?とかおもわない(笑)?」

「さすがにそれはない。
母の横顔が、引くほど自分と似ててぞっとしたことがある。
父親似だとおもってたんだけど。
先生はわたしの母が暗くて怒ってるのかなってかんじといったけど、
わたしも人にそう思われていたら、かなしい。
でも人生をなげうって自分のために生きてくれた人を
こんなふうにおもうなんていけないことだ。」

「おまえがおふくろさんに似ているだと。
ぜんっぜん似てねえ。
おまえの人生だ。親は関係ない。
おふくろさんは、関係あるとか言うかもしれないし
おまえがおふくろさんをおいて幸せになることがゆるせないとか
言うかもしれないけど 本気では思ってないよ。
たま~に本気で考えてる親もいるみたいだけどね。
でも おまえの人生がおまえのものであるように
おふくろさんの人生もおふくろさんのものなんだよ。
子どものためにやりたいことがまんしても、
それは本人がそうしたいからしたんで、自分のためだよ。
ほかの方法を選ばなかったのは本人なんだよ。
だからお前のためにやってきたのにと もし言われても気にするな。
親の気に入るように生きられなくても 罪悪感をかんじなくていい。
親が好きじゃなくても 自分を責めなくていいんだよ。
自分が悪いとおもうんだろうけど。子どもってみんなそうだから。
親はそういうものなんだ。
おまえはおまえなりに生きてきて 感じたこととか
作ってきた人間関係があるだろう。それは固有の財産なんだよ。
おまえはおまえで生きろ。だれも関係ない。」

「そう思えるようになればいいとおもう。」

「おれはもう帰りたいんだが それにしても
おまえのローラー機 止まらねえな。
10分なのにもう30分くらい回っている。
それ たまに自動停止しなくなるんだよね。」

「全身ローラーをされまくってふにゃふにゃだ。」

「うるせえ。とっとと帰れ。」

・・・

先生はとっとと帰れといったが
このあと先生の小学生の息子さんが
学校の子にいじめられたときのことなど語ってくれ、
さらに1時間くらい話し込んだ。
いじめっ子は学校のクラブの仲間。
先生の患者さんにクラブの別の子がたまたまおり、
その子をとおして「息子にちょっかいかけたら殺す」と 
いじめっ子に伝えたところ、いじめがぴたりと止まったそうだ。
息子さんは、いじめのことを先生に相談していたようだが
お父さんが積極的にこの件にからむはずはない、とおもっていた。
なぜなら、事態を把握した担任が「学級会議でとりあげる」といいだしたとき、
先生は「学級会議はやめて」と担任にたのみこんだそうなので。
息子さんはいじめがなくなったことの理由がわからず
ふしぎがっていたそうだ。
「いじめられなくなった・・・ なんでだろう」。
それをながめながら先生は
「さあ、どうしてだろうねえ。」
と しらばっくれていたそうな。

「いじめってのは、ほんとうにかわいそうだよな。」
先生はそう話した。
「かわいそう」
という素朴な感想が心に残った。
「息子も、悪口とかいわれたのは1週間もなかったんだけど、
家に帰ってくるたび表情が暗くなっていって、
これはなにかが起こっている、ってわかったからね。」
「いじめは、やられると、すごいスピードで
生きる力を奪われていく。」
と話すと、真剣な表情でうなずいていた。

「しかし、死んだらそんなにいいのかね。」

「わたしはそうおもっているんだけどなあ。」

「おまえが死んだら周りは大変だぜ。」

「大変じゃないとはおもわないけど、
大変なのはほんの一瞬でしょう。」

「でも、なんでなんだ。」

「少なくとも、命がなくなれば、もうかなしいおもいを
しなくてすむだろうなとおもうんだよ。
かなしいおもいをしたくないでしょ。」

「若いのの自殺が増えているだろう。
新聞とかに載ったかわかんないけど、
この前の春に、U町で中学生が自殺したんだよ。
公立高校の入試があった日に、
その子と母親とそろって自殺したんだよ。
合格発表じゃなくて、入試があった日だよ。
たぶん、失敗したとおもって、死んだんだよ。
おやじさんのことをおもうとなあ。
嫁さんと子どもといっぺんに亡くしちゃってさ。」

「そのふたり、死ぬことなんてなかったのに。
でも、受験が世界のすべてみたいになりすぎて、
親子そろって 自分をおいこみすぎたのかな。
かわいそうだね。」

そう答えると、先生は困ったような顔でだまって笑った。
「おまえもいろいろ大変なようだな」か
「このバカ野郎が」か
「なにいってんだかさっぱりわかんねえや」か
何の意味の 笑顔だったかは 不明だが(笑)