BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

手記-其の弐拾(仮題)-20171213-宣戦布告-1

2017年12月13日 水曜日。
出社をとりやめた翌日。

昼、ユニオンさんと打ち合わせ(都内事務所)。
いつもならとっくに出勤している時間帯だが、
労働組合の事務所を目指し、まったく別の路線の電車に乗る。

その車内で、
入社当初 教育係を務めてくれた
女性の先輩に、メール。

「きょうから出社するのをやめる方向です。
もう、くだくだとおわびの文句から
話を始めるのはやめます。
すでにお願いしたとおり、先輩にはしばらくのあいだ
わたしと職場との裏の連絡窓口を おねがいします。
当面は、病欠名目で休みますが、あとは適当にやります。
事情を知ってるのに知らないふりをするっていうのは
さぞかしご負担だとはおもいますが、
会社になにか聞かれても、知らぬ存ぜぬで
何もかも受け流してください。
近く、会社を相手取ってアクションを起こすので、
それまで、どうにかご辛抱ください。」
・・・
その他、仕事の申し送りを何件か付記し、
いっさいを託す。

先輩の返信。
「うまくやっておくから、心配しなくていい」。

事務所に行ってみると、
ユニオンのおふたりが、
・会社への団体交渉申し入れ書
・未払い賃金の支払いや、その手続きに必要な
 資料の提出などを 会社にもとめる要求書、
・提出ずみの給与明細や雇用契約書(不備があるが。)をもとに
 算出する、未払い賃金の試算書
を用意してくれていた。
書類を作っておく、という話ではあったが、
初回の面談から2日しか経っていない。
ここまでしっかりと いっさいをそろえてくれていたとは
おもわなかったので、驚いた。
「フォーマットがあるから、手間じゃないんです」。

前日12日の 専務とのやりとりの概要を説明し、

手記-其の拾玖(仮題)-20171212-フェイドアウト - BRILLIANT CORNERS-2

このときの録音データをそっくり おふたりに渡した。
さらに、これからの会社との係争の 
だいたいの流れを確認したあと、
すぐに
「じゃあ、この申し入れ書と要求書を会社にFAXして、
いよいよ、始めるとしましょうか。」

ユニオンのSさんが、
会社に力をかしてくれそうな人がいるなら、
その人に連絡をとって、FAXを読んだ直後の
上司たちのリアクションを
録音しておいてもらってください、とのこと。

労働組合の権利は法律によって強力に保障されています。
従業員が労働組合に加入したこと、
従業員が労働組合員であること、
従業員が組合活動をしていることなどについて、
使用者が悪く言ったり、そのことを理由に出社停止処分にしたり
いやがらせをしたりすることは、違法になります(※1)。
そういうことを 会社が言ったりやったりしたことの
証拠があれば、たとえ告訴をするわけではなくても、
団体交渉において、こちら側の武器としてとっておけます。
たとえば、これから送るFAXを 専務や上司がみたときに
Yさんの悪口を言ったりするような場合です。
ですから、会社の人に頼めるなら、録音してもらってください。」

(※1)労働組合法 第2章「労働組合」-第7条「不当労働行為」

e-Gov法令検索


・・・

お願いできて、しかもうまくやってくれそうな人といえば、
やっぱり、今朝メールした 女性の先輩かなとおもい、
Sさんに FAXを送信するのを数分待ってくれるよう頼んだ。
先輩に、FAXがこれから会社に届くことを知らせ、
社内のリアクションの録音をおねがいするためだ。

先輩に送るメールを作成しているあいだ、
ユニオンのおふたりに 二、三、たずねられた。

Sさん
「ちなみにYさんは、ご自身のことを、
仕事で、どういうキャラとして
見られているんだとおもいますか?」

わたし
「できない子キャラですよ。
任されたページを自力で書き上げられるようになるまでに
時間がかかり、それができるようになったあと任される
『進行』の段階に、なかなか進めませんでしたから。
半年以内に、そこまでできるとみなされて、
はじめて研修期間終了ですが、まにあいませんでした。
わたしは、本来半年で終わるはずの研修期間を 
さらに半年延ばされました。
途中で1回、体を壊したことも一因だったんだけれど、
研修期間中は契約社員なので、
半年でものにならなければ、契約を切ってさようならが通例だけど、
わたしは ギリギリそうならなくて、
もう半年様子をみるか、と なったようです。」

Sさん
「性格とか、人柄とかの面ではどうですか」

わたし
「ふつうにみんなとうまくやっていたけれど、
仕事できないから上司受けはとにかく悪かったので、
上司には
『何を言ってもへらへらしてて、響かないから腹立つ』
みたいに思われていたんじゃないかな。
基本的に道端のゴミみたいに無視されるか、
人間じゃないみたいにけなされて
完膚なきまでギッタギタにされるかのどちらかでした(^^)」

Mさん
「会社にケンカを売るなんて、まさか思っていない感じですかね」

わたし
「会社は、わたしのことを、
こんなことができるやつじゃないと思っているとおもいます。
ちょっと前までは、もっと、警戒されているのかもしれないと
ふんでいたんだけれど、
きのうの専務とのやりとりで、そうでもないのかな?と。
わかりませんが・・・。
でも、これから送るFAXを見たら、きっと会社は、
ものすごくびっくりするとおもいます。」

・・・
先輩に、社内の様子を録音してくれるよう頼むメールを送ったところ、
「可能な限りやってみる。」
「もうバトルスタートなんだね!早かったね!!」
と 返信あり。

Sさん
「じゃあ、FAX送りますね。」

・・・
Sさんは、すぐさま、流れるようなしぐさで
スマートフォンの受話をスピーカーに切り替えて
端末をテーブルに立て置きにし、
さらに端末のすぐ近くにICレコーダを設置して、
録音スイッチをオンにした。
そして、わが社に電話をかける。

会社
「はい、〇〇〇社です。」

あ、後輩くんの声だ。
倒れたわたしを介抱してくれて、
あとで、「こんなふうに倒れてました!」って
床にいきなりねっころがって再現してくれた・・・。
彼は社歴が短いから、積極的に電話番をしているからな。

Sさん
「どうも。労働者を食いつぶすブラック企業の是正のために闘う
労働組合ブラック企業ユニオン(※2)の、Sと申します。
このたび、御社のYさんが当組合に加入し、権利の回復のために
団体交渉を申し入れる意思を表明されています。
つきましては、代表の方とお話がしたいのですが。」

後輩くん
「(甲高い声でかみしめるように)ぶらっくきぎょうゆにおん。」

Sさん
「はい、代表の方はご在席ですか?
さきほど、団体交渉申し入れのFAXを御社に送りましたが
それは届いていますか?」

後輩くん
「少々お待ちください(保留・・・)
FAX届いていました。
あと、いま、専務は別の電話に出ているのですが、
15分もすれば終わります。」

Sさん
「では、そのFAXをお読みになった状態で
あとでお話ができるように、
専務の机にFAXを置いておいてください。
また、電話があったことを伝えてください。」

後輩くん
「わかりました。お電話があったこと知らせておきます」

びっくりさせてごめんね、後輩くん。

※2 NPO法人POSSE下に さまざまなジャンルに特化した
ユニオン(労働組合)が作られている。
エステ業界の労働問題をあつかう「エステユニオン」
保育士さんの労働条件向上のために闘う「保育士ユニオン」
などなど。
ブラック企業ユニオン」も、
そうしたPOSSE下の専門型ユニオンのひとつだ。
わたしが加入したのは「総合サポートユニオン」だが、
Sさんは総合サポートユニオンのほかに、
ブラック企業~」を含む複数の組合で活動している。
わが会社に心理的プレッシャーをかけるために、あえて
ブラック企業~」の肩書を選んだようだ。

・・・

Sさん
「(電話を終えて録音をいったん切り)
15分したらほんとに話せるんですかねえ(笑) 
ま、べつにいいですけど。」

わたし
「電話をとった後輩くんが、『ブラック企業ユニオン』という
ところから電話があったと伝えたのであれば、なんだその
おそろしげな団体名は、と警戒してネットなどで調べ、
さらに社長(専務の母)に電話で相談し、頭がまわれば
弁護士にでも連絡をとって、できるだけ心づもりしようと
思っているのかもしれません。」

Sさん
「そうですね。ま、弁護士にかんでもらえれば
話が早いので、こちらも助かるんです。
ただ、弁護士も人権派ばかりともかぎらない。
『負けたくなければよけいなことはしゃべるな』
などといって依頼人をだまらせて、団体交渉の前に
証拠資料の隠ぺいや改ざんを指図する悪い奴が
いるんですよ。そういうことをさせるヒマを与えずに
たたみかけたいのが、正直なところですね。」

15分後、
意外にも専務からSさんに電話がかかってきた。
話しながら、別室に移動する足音がきこえてくる。
・・・
専務はイヤなことや怖いことは早く終わらせたいタイプの
性格だ、たしかに。
待つのではなく、自分からつっこんでいく。
いつまでもうじうじせずに自分からかけてきたのは
その性格のせいもあるのかもしれない。

かつて 大学の編入試験の日
黒板にはりだされた、
最終試験に進む受験者のリストを見るために
試験会場の階段教室を、一歩一歩降りていった。

あのときとおなじくらい 緊張した、
専務の足音を スピーカーごしに聞いていたとき。
もうなんか、倒れそう(^^)。
(ま それほどの思い入れをもって入った大学を、
わたしは卒業しなかったんだけれど。そりゃ別の話。)

専務は、どのような反応をみせるのだろう。

・・・