BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

能「道成寺」。-180203。

道成寺」みた。
(2月3日、宝生能楽堂

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宝生会公式サイト↓

公益社団法人 宝生会


道成寺」のストーリーは
ここでだいたい知れる。↓

www.the-noh.com

眠くなっちゃったらどうしよう、
と 心配だったが
杞憂におわった。

能。
親しむ気になれない要因
=「わからない」が山盛り、
におもわれる、
「ザ・伝統芸能」だ。
たとえば
・言葉が古い(話がわからない)
・動かない(やってることがわからない)
・お面で表情が見えない(感情がわからない)
・舞台装置がすくない(状況がわからない)
・音がすくない、音楽にとりとめがない
(どんな気持ちで観ればいいのかわからない)
・・・

わたしも
鑑賞しようと決めるのにちょっと、
勇気みたいなものが要った。
けれども、
同様にほんのすこし抵抗があった
「歌舞伎」を、先日「シネマ歌舞伎」で
初めて鑑賞した結果、おもしろかった。
それで、なんとなく、
お能もいいんじゃないかと考え、
チケットをとってみた。

じっさいにみて すぐに気づかされた。
「わからなそう」「難しそう」は、
思い込みであった。
みために情報がすくないぶん 
想像がかきたてられ
「わからない」にとどまることがない、
というのが最大のポイント。
「眠くなる」こともない。
理解するために五感が勝手にフル回転し、
眠くなるどころではないのだ。
わたしだけでなく、
お客さんのおおくが 
ものすごく集中して観ていた
(ちなみに会場は超満員)。

ただし、
「乱拍子」の舞のときだけは、
話は別だった。 
そろそろと足をうごかすだけの動きを、
体の向きを変えながら
30分にもわたってくりかえす。
お客さんたちが 
催眠術にかかったように
ばたばたと寝入っていった。
いびきの音がすごくて
(わたしはなにもわるくないのだが笑)
なんだか気まずくてしょうがなかった(^^)。

この乱拍子の舞については、
シテの佐野登さんが
プレトークショー
「乱拍子で意識がとおのいてしまう
お客さんがいっぱいいますが、
一見 足を動かしているだけにみえて、
じつは複雑なことをやっている、
奥深いシーン」
「ここで寝てしまうと、
直後の華やかな急の舞を
みのがしてしまうから、
がんばってみてほしい」
とおっしゃっていた。
自分はさいわい 
睡魔におそわれなかったので、
まばたきの回数すら最小限におさえ、
舞のすべてをこの目に焼き付けた。

所作、音、唄、衣装、雰囲気、
舞台装置、段取り、舞踊、
狂言とのバランス・・・と 
なにもかもが新鮮な2時間。

でも、DVDや
動画サイトなどで観ても
同じような感動を 
あじわえるものかはわからない。
緊張感、臨場感を満喫したければ 
能楽堂に足をはこぶのがベストだろう。
チケットは一般的に 
いいお値段みたいなのだが、
わたしが今回観たのは 
出版社が後援する企画もので、
演者によるプレトークショー
(ゲストにダンサーのSAM・・・)や、
衣装の展示などの
初心者向けオプションが充実し、
料金システムも多彩。
自由席3000円で、
なんの問題もなく観られた。

昨今は、やる側も、
伝統の火をたやさないために 
なんとかみんなに観にきてもらおうと 
いろいろ知恵をしぼってる。
この手の企画ものをチェックすれば 
比較的気軽にお手軽に、
お能も歌舞伎もみられるはずだ。

ただ、現代的音楽やサブカル
コラボしたものを
むやみに導入編として観るのは 
個人的にはどうかとおもう。
(たとえばJAZZ×能とか 
「ワンピース」×歌舞伎みたいなの)
 
「能」、
一度は生で鑑賞されることを、
みなさんにおすすめしたい。