BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想をおもに記録しています。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

「スクランブル Overdrive(2017)」。

時間も頭脳も体力もぜんぶ不足してます。
推進力として使えそうなのは つねに 精神力、これひとつだけ。
使えそうったってほんと ほかが全部ダメですから
それに比べれば、ということでしかありませんが。
いつものパターンですが 
これでどこまでいけるものか。
あと伸ばせるとしたら、または増やせるとしたら
どこなんでしょうかね。
自分としては頭脳、「知力」であってほしいんですけど。
これも とおい夢っていうか(^^)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

記録しときたいことはほかにもありますが
できごととして いちおう 順を追って このことから。

このまえ
スクランブル」っていう映画みました。
Overdrive アントニオ・ネグレ監督、2017年、仏・米)

movie.walkerplus.com



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ねたばれ的なことは書きませんが内容には触れますし
すきほうだい 言います。




物語の主人公は、高級クラシックカー専門の強盗をなりわいとする
フォスター兄弟(スコット・イーストウッド、フレディ・ソープ)。
ろくでもないことをやっていますけれども
兄のアンドリュー(イーストウッド)は 車のことへの造詣が
とにかくすさまじく深くて、どんなクラシックカーもみただけで
製造年から開発裏話からうんちくがぺらぺらでてきます。
弟のギャレット(ソープ)はお調子者ですが、どんな相手とでも
うまくやれるコミュニケーション上手で、
おもに渉外・調整を担当します。
さて、ふたりは、いつものように仕事をするんですけれど、
このたび盗んだ車が、よりにもよって 南仏一帯にはばをきかせる
マフィアの頭領が オークションで競り落としたものだったんです。
頭領は、不遇の幼年時代から実力ひとつでのしあがってきた
苦労人。それだけに、かせぎだしたお金で手に入れる
高級クラシックカーのコレクションが
とにかく宝物なわけです。車は彼の誇りそのものであり、
自分の命よりも 大切なものなんですね。
だから そのコレクションに加わるはずだった
すてきな車を 不届きにも盗み出そうとした 若造どもが
許せなくって、とっつかまえて殺そうとします。
頭領の剣幕にあわてたフォスター兄弟は、
あんたのために、いい車を手に入れてあげるから許してよ
と 持ちかけます。
彼らが提案したのは、
頭領と敵対関係にあるマフィアが所有するクラシックカー
(なにせ高級車専門の強盗で食っているわけですから
どこの国のなんという街のだれがどんなめぼしい車持ってる、
という 情報はすべて頭にはいっているわけです。)
頭領は この敵対マフィアのことが 過去にいろいろあったもので
だいっきらい。兄弟の計画が成功すれば意趣返しになりますし
車は車で のどから手がでるほどほしい。そこで、
フォスター兄弟の提案に のることにします。
ただし期限は1週間、失敗したら兄弟はまちがいなく殺されます。
不可能にちかい仕事なんですけれど、しかたがありません。
兄弟は、ハッキングのエキスパートやスリの天才、
爆弾オタクなどの一芸にひいでた仲間たちを集めて、
このミッションに挑んでいくのですが。
・・・
といった お話です。

感想を端的にいうと
けっこうおもしろかった!!
100点満点なら75点てところでしょうか。

わたしは車のことはまったく 知りませんが、
好きな人なら カーアクションと
名だたるクラシックカーが続々登場する壮観に
夢中になれるだろうと おもいます。
このわたしでも、車って美しいもんなんだな~、と 感じました。
ワイルドスピードのときは、意外にこういうことは感じないのですが。
本作では、
「車って 使用される場面によってこんなにさまざまな表情を
見せてくれるものなんだ」
と 感じることができ、
とてもたのしめました。

オープニングもかっこいい。
高級車の車体が 
ELECTRIC STARLET(ってエンディングで表示されてた)の
音楽にのせて さまざまな角度から映し出される映像で
デヴィッド・フィンチャー監督版の
ドラゴンタトゥーの女」のオープニングに次ぐくらい
見入ってしまう かっこよさでした。

「女」といえば、
車には女性の名前が付けられることがおおいですよね
なんか (たぶん古いとおもうんですけど)「セリカ」とか
カローラ」「シルヴィア」「シエナ」とか。聞いたことがあります。
テスタロッサ」も女性っぽい。
「ガイア」は大地の女神さまの名前だし。
メルセデス」だってスペインとかの女性の名前っちゃ名前ですよね。
過去に ほかの映画で、女性の自動車泥棒が
自分が盗もうとする車を見つめて「あなたってとっても美人ね。
ちょっとだけおとなしくしててね」と
女性に対するように語りかけていたのさえ 見たことがあります。
車の美しさは、女性の美しさに通じるかんじのものなんでしょうかね。


想像していたのとはぜんぜん違う映画が観られました。
テイストとしては
ワイルドスピード」風かとおもいきや案外そうでもなく、
どちらかというと
「グランドイリュージョン」系統。
対象年齢もあきらかに
ティーンから20代後半あたりをメインにあてこんでいます。
それで
軽く 明るく、 
アクション! バトル! ロマンス! ミュージック!
って方向でいくのかなーと 
おもわせておいて、
意外にも もっと骨太、けっこう見ごたえあるかんじに
転がっていくのです。
それが観ていてほんとうに意外で 驚かされましたし、
その意味でジェットコースター展開だったとおもいます。

ただ、こだわるようだけれど、そこにやっぱり
アンビヴァレンスっていうか・・・
なにかこう・・・ 
がんばってたけどちょっと ムリがあったかな?
という感じが いなめなかった気もします。
「そっち方向」に途中から ハンドルをおもいっきり切るにしては、
役者さんたちが あまりに若すぎたし かわいらしすぎたかと。
そこまでで描かれてきた世界観が 軽すぎて、
違和感を禁じえない部分があったのです。

なんといっても
スコット・イーストウッドのお顔でああいうことをやられるとね、
本気で引きます(^^)。
自分の恋人を傷つけたやつのことが どうしても許せなかった 
ということだとおもいますけれど、
(それ以外に動機が考えられない。)
でも そうはいっても 命までとられたわけじゃなし、
仕返しにあそこまですることはなかった とわたしは感じました。
あそこまでやっちゃったら 
もはや大団円はありえないのに、と感じたんですよ。
だってそういう価値観の映画である、そこまではやらない世界観であると
ずっとわたしに伝えてきていたんですから、ほかならぬこの映画が。
もしどうしても「ここまでやって、でも大団円でみんな納得」が
アリなふうにしたいならば、
「そういう価値観の物語じゃないかもよ〜(^^)?」って
やはりもう少し前から、観る者の頭にすりこんでかないと
いかんとおもいます。
もしわたしが監督だったら
音楽の調性で工夫するとか・・そうだな 
あとは役者さんの服の色とかでそれとなくすりこみますかね。
眼の色だけでもちがうのかなとおもいますけどどうかな。
なんにせよそういうとこ 抜け目なくいい具合にやっとかないと
せっかくの大仕掛けなのに
「構成の不備」感を観る者に残してしまって もったいないのではないかな。
そもそも、恋人を傷つけられたことが
アンドリューの行為の理由なのだとすれば、
アンドリューの計画が そのできごとよりも
はるかに前から動いていたことが ほのめかされるという展開も、
考えてみれば おかしいことにもなります。


※「考えてみればおかしい」といえば
話の大もと、発端である 
「仕事で盗んだ車が 大物マフィアのお手つき物だった」
という点もまあおかしいっちゃおかしいでしょうか(^^)
フォスター兄弟は 先述のとおり、
街のめぼしいクラシックカーの所有者情報を
すっかり頭に入れてるスゴイやつら、という
キャラ設定にもかかわらず
「ストーリー冒頭で盗んだ車はアンタッチャブル」ってことだけ
なんで事前に把握して手をひくってことができなかったのでしょうか(^^)
そこ かなり大事でしょ(把握できてたら映画 存在してないけど)。
でも これはいちおう納得できなくはないことに あとで気づきました。
いつも一緒に仕事している
ハッカー(アンドリューの恋人でもある)が
この仕事にかぎっては 危険だからと外されていたのです。
それで情報を掴めなかった。つまり
オークションの落札者の情報をハックできなかった、
ということですね。
まあそれならしょうがない。
盗みもラクじゃないですねえ・・。


話をもどしまして、
そんなわけで、
コペルニクス的大転回を狙うにしても
もう少したくみなやりかたは 探せば なくはなかったと
わたしは考えます。
そこがなー やっぱ フランスさんがからむとなー。
なんかヘンにテキトーになるっていうか(^^)←偏見。


サイコ野郎の敵対マフィア、
個人的にはあのままのキャラでいってほしかったです。
すごくよかったんだけどな。
サイコ野郎としてきわめて良質だったのです。
顔もいかにもヤバイなこいつ、ってかんじだったし。
瞳の色が薄くて人間離れして見えるのもあって。
だから 話し合いが通用する相手であってほしくなかった。
持論なんですけれど
やっぱり悪役は 徹底的に人間のクズでないと、
ダメなんですよ。
フォスター兄弟の雇い主となるマフィアの頭領を演じた
シモン・アブカリアン
(たしか007カジノロワイヤルでディミトリオスをやった人)
ロバート・デニーロみたいなかんじで とってもよかったんですけど、
なんか、このマフィアも、もったいなかったなというか。
人格者然とした風格がありすぎたのです。
頭領の縁戚で、監視役としてフォスター兄弟のもとに
送り込まれた男を演じたのは アブラハム・ベルガという
役者さんだそうですが
この人は 小者っぽくてすごくよかった。
なんか イエス・キリストの生涯を描く映画とかで
ユダをやったら ハマりそうな顔。
いかにも たいしたやつじゃなさそう感。
こずるくて陰険で。
ユダに悪いこといっちゃったかな(^^)


でも、話をもどしますが、
この 「大転換」こそが 
本作のいちばんのおもしろみといえますし、
ここまでさんざんっぱら言わせてもらったけど、
それでも超絶 大健闘しています。
なかなか作れないとおもいますよこういう話は。
途中で すべてがひっくりかえるのです。
ぞっとしましたね あの外門の彫刻文字をみたとき。
え!どこからだったの!? もう一度観なくちゃ、となります。

なにより やはり 明るくカラッとした雰囲気で
元気いっぱいってかんじが すてきな映画だとおもいます。
役者さんたちも やる気十分でよかったです。


スコット・イーストウッドをよくしらなかったわたしは、
そもそもが「父親たちの星条旗」のときから
「うわ、この人、クリント・イーストウッドみたいだなあ」
って バカなことを思ってました。
あとで調べたら クリント・イーストウッドの息子さん。
見れば見るほどそっくり。往年のお父さんに。
これで血のつながりがなかったら世の中ぜんぶうそですわ。

本作の主人公、アンドリューとギャレットは、
母親が違う兄弟であり、アメリカと英国とで 
生まれてから15年間会うことなく
はなれて暮らしてきた という設定です。
イーストウッドも、スコットのお母さんにあたるかたとは
結婚しなかったそうで、スコットには母の違うお姉さんお兄さんが
3人いるといいます。
フォスター兄弟のこの設定は、
イーストウッド父子、イーストウッドをめぐるファミリーの
実際の関係になぞらえて 作られたんだろうなと
おもいました。
登場しないのに 魅力的なお父さんだった、と たびたび語られる
フォスター兄弟の父親が どんな人だったか見たい、と
わたしがおもったということは
たぶんほかの人たちもそうおもったでしょうから
本作は 続編がありえる かもしれません。
お父さんもう死んでる設定だったから出てこないかもしれないけど。
シリーズ3くらいになったらパパ登場もありえますかね
ハンニバル・ライジング的なエピソード1的な(^^)
・・ま、そこまでの作品ではないか。


それに
アメリカ育ちのアンドリューには ラテンアメリカンの恋人がいて
英国育ちのギャレットは フランス美女といいかんじになり
兄弟の仕事仲間にも ブラジルやらメキシコやら東欧やら 
聞きなれない言葉を話すメンバーが多数参加する・・など
国際色ゆたかな 映画であり
そういうのも 考えてみれば おもしろかった点でした。
アンドリューの恋人役の女優さんはとくに
キューバの人だそうですけど
意志の強そうな濃いまゆや 笑った顔がかわいくて
わたしも大好きになりました。


つっこみを入れたくなる部分もすくなくないものの、
楽しめる映画でした。
まじめに ちゃんとおもしろいもの作ろうとしているのが
つたわってきて好感がもてました。
露骨な描写、下品なシーンが センスよく排され
バトルアクションのわりに 流血シーンがほとんどないため
むごいシーンがダメな人も安心して観られます。
ぜひ 楽しんで ごらんになってください。

わたしもあと1回くらいは観てもいいかも。