BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『鍵』-171002。

1日 本を読んでた。

本ばっかり読んでいたせいか
首がいたい。まわらない。
横になるのもしんどい。涙出そう。
それに おなかすいた。つかれた(^^)
本音をいうと きょうはもう 
あと1行だって読みたくない(^^)

・・・

さっき、
『鍵』を観てみた。
英題:Odd Obsession
市川崑監督
1959年、日本

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www.youtube.com


谷崎潤一郎の『鍵』の 
5本だかある実写映画化作品の
いちばん最初のものだ。
二代目中村鴈治郎(古美術鑑定家・剣持)
京マチ子(剣持夫人・郁子)
叶順子(剣持家娘・敏子)
仲代達矢(敏子の婚約者・木村)
などがでてる。

『鍵」』の基本的なすじを 
お知りになりたいかたは
Wikiなどをお読みになるといい。

みごとなもんだなとおもった。

原作小説がだいたんに換骨奪胎され
かんじんの「日記」の要素は
ほぼ全消えで ラストあたりに
申しわけ程度にでてくる程度
そのかわり「窃視」と
「公然の秘密」の要素が
映像と会話劇によって
ぐいぐい押し出される
映画ならではのつくりだ。
何を考えているのか
さっぱりわからない、
木村の頭のなかは 
すくなくとも 鑑賞者にかぎっては
ノローグによって
「窃視」できる仕組み。

原作とはかなりちがうけど
とてもよくまとまっているとおもう
徹底的なまでに様式的
かつシンボリックで、
それだけに 
人の心の謎や愛憎がにじみでて 
美しいと感じる。
蒸気機関の暗喩とか 
あんなのもう 
今の映画ではできない。

セリフにも動きにも 
ムダや飾りが感じられない。
セリフなんか 
1回でも通して映画を観れば
そらで言えそうなほどシンプルだ。
「演技とかそういうの 
この映画に必要ないんで!」
くらいのこと
考えていたんじゃないだろうか、
監督は。知らないけど。

女性陣の
お化粧が怖い(^^)
初登場シーンで 京マチ子の顔をみたときは
冗談でしょ、とおもった。
でも観ているうちに慣れてきて 
きれいだな、くらいのこと以外には
なにも思わないように
なってきたからふしぎだ。
お能の面のようなかんじかなと。

中村鴈治郎
とてもうまいとおもった。
目つきも手つきも 
きもちわるくて じつにいい。
最初はこの人がいちばんヤダなと
おもうんだけど
観ているうちに・・・。

京マチ子は いい。
彼女って 体をはって
「女」ってものを演じた女優なのに
いやらしくならなくて
いつでも品があるところが 
稀有だと感じる。

「はなさん、また間違えたのね」。

仲代達矢が 剣持夫人とその娘とを
みずからの出世のためだけに
とっかえひっかえする
不誠実なインターン生を 
うまいこと演じてた。
顔が腹立つ。

昔の日本映画はおもしろい。
こういうのだったら いくらでも観たい。