BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『スーサイド・スクワッド』-160926。

原題:Suicide Squad
デヴィッド・エアー監督
2016年、米

f:id:york8188:20190317002132j:plain

www.youtube.com

wwws.warnerbros.co.jp

このオフィシャルサイトは、
ハーレイ・クイン推し」を
隠そうともしてないなあ(^^)

映画館に到着した段階では、
『怒り』を観たいと
おもっていたつもりだ。
でも
券売機の前にたったときには
もう気分が変わってて、
本作を選択していた。
なんか、ちかごろ 
大勢にたいする
カウンタームービー的な
どうもそういうのを
観たがっているかもしれない。
一瞬 
『超高速参勤交代リターンズ』を
みようか迷った気もするが
あれは第一作が
まったくおもしろくなかったから
血迷ったとしても
選ばなくてよかったとおもう。

ところで、
本作は、
まあまあだった。
最初のほうはたのしかったが、
かなり早い段階で興がさめた。

単に、自分が期待したような
かんじじゃなかったという
だけのことなので、
もちろん、この映画が
「いい」とおもう人も
たくさんいるだろう。

わたしは、映画や小説に
でてくる悪人は、徹底的に
「人間のクズ」じゃないと
イヤだと感じる。
この映画はその「悪人」が
主人公であるのに、みんなちっとも
「悪人」らしくなかった。
みんな結局いいやつで、
観ていると好きになっちゃう。
ハーレイ・クインなんて、
女のわたしが
どきどきするほどカワイイし
超大好きだ。
ふつうに彼女をまた観るためだけに
あと2、3回映画を観てもいい。

でもそれはだめだ。
それはつまらない。
好きになっちゃう悪人なんて
おもしろくない。
理解できてしまう悪人なんて
悪人じゃない。
悪の理論のわけわからなさを
笑い飛ばしたかった。
なぜそのように行動するのか、
なにを考えているのか
まったくわからない純然たる悪人
それでないと 悪人の映画はたのしくない。
女子どもも平気で殺すかんじで
あってくれないと たのしくない。
悪人の背景に、
「愛」とか「仲間」とか
「おれにも実は娘がいて・・・」
とか
そういう事情をみたくない。
そういう事情が、
実際の世界の人間には
必ずあると知っているからこそ
映画のなかや小説のなかでは 
突然変異的な、
ピュアな悪人を楽しみたい。
なんでこんなやつが
この世に存在してしまったのかと
おもってしまうような 
そういう悪人が。
本作にはそういうのを
期待したのだが、
それがかなわなかったことが、
残念だった。

DCアメコミの映画化だそうなので、
原作を知っている人たちは、
最初から、わかっていただろう。
主人公たちが
「憎めない系の悪人」であることを。
アメコミのヴィランてのは
みんなそういうのだからな。
こいつは悪い奴だけど、
そうなっただけの
深い事情があってだな、っていう
キャラクター。
だから、逆に、
本作をみて
まだまだこれじゃなまぬるいと
思った人もいただろう。
あいつがどうしてこのような
犯罪者になったのか、という
背景をもっとちゃんと
描いてくれないと、と
感じた人もいたことだろう。
つまり
ヴィラン描くならもっと徹底的に
クズに描いてくれよ っていうのは
おめー アメコミのこと
なんにもわかってねーな!的な
意見なのだ。

でも、映画は映画で、
マンガはマンガだ。
DCアメコミを読んでなかろうが
映画だけ観る権利はあるし、
映画だけ観て
ものをいう権利もある。

映画にするなら 
映画だけ観る人たちも
おもしろく観られるように
うまく料理するんだろうし、
それでまったくかまわない。

その意味では、本作は 
原作ファンにも
映画だけ観る人にも
どっちつかずの映画に
なっていた感があった。
製作者は
ハーレイ・クインやデッドショットを
愛してやまないファンが
たくさんいることをわかっているだけに
おもいきって壊すこともできず 
かといってなぞりきることもできず
といったかんじだろうか。
しらんけど。

日本人のキャラクター・カタナの
過去を描くシーンが
あんまりだった(^^)
切られ役とはいえ
なんでわざわざ母語
日本語じゃない俳優を使ったのか
意味がわからない。
カタコト気になる!
カタナを演じた女優さんの日本語が
(日系アメリカ人だそうだが)
違和感なく 美しかっただけに
気になって気になって
しょうがなかったよ(^^)
どうしても見た目で
選びたかったとか
だいじな役だから 
日本語が話せることではなく
演技力やアクションの心得があるかどうかで
選びたかった、
とかならばわかるのだが
切られ役じゃないか。
俺はやってないぞ!とか
いいわけしながら殺される役。
日本語をちゃんと話せる俳優なんて
いくらでも探せたはずだろう。
まともに話せないなら
セリフなしでよかったのに。
昨今、中国にはずいぶん
へいこらしているハリウッドだが
日本で公開されることは、
意識してくれないのだろうか(^^)

でもハーレイ・クイン
くらくらくるほどカワイかった。
あとエンチャントレスという
恐ろしい古代の魔女を演じた
フランス系みたいな名前の
女優さんもかわいかった。
くっきりした顔立ちで。
あのふたりを観るためだけに
あと2、3回映画をみてもいい。
フラッグ大佐もすごくかっこよかった。
わたしはあの役者さんを
知らなかったのだが
あんなに男前なのに
知らないとはどういうことだ。
ちょっとトム・ハーディ的な
スッとしたかっこよさ。

映像もしゃれててよかった。
画面が暗くて、
なにをやっているのか
よくわからないところはあったが。
迫力があった。
高層ビルのてっぺんまで
要人を救出しに行く、
というミッションのシーンは
ゲームの攻略過程を
観ているようでおもしろかった。

スーサイド・スクワッド
メンバーは全員、
常に拘束衣を着せておかなくちゃ
いけないような、凶暴な犯罪者であり
ふだんは終身刑か死刑で監獄にいる。
政府から出動要請があっても
彼らを出獄させるだけで ひと苦労で、
そのたびに警察の特殊部隊や
監獄の職員が何人も普通に死ぬ、
という設定が
なかなかおもしろかった。

まあそんなところか。