BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

盆踊り/人生案内/映画の感想-「コンテイジョン Contagion(2011)」-120803。

道路をはさんで
職場のむかいにある広場で、
盆踊り大会が催されていた。

盆踊りの音楽は
仕事のBGMには向かないね。
仕事をすることが
アホくさく思えてくる、
ってところがよくない。

盆踊り大会は毎年この時期、
18時半からひらかれており
営業さんもわたしたち内勤も
そのことをもうよく知っている。
かれこれ10年連続、
これを聴きながらの残業という、
一種の苦行を、
体験しているメンバーもいる。
せめて残業しなくていいように
早く帰ればいいんだけど、
今年はみんな、だめだった。
だれもが営業から帰ってきた時点で
18時半をまわっていたし、
内勤スタッフも忙しくて
定刻では上がれなかったのだ。

所長が帰ってきたとき
「“ズンドコ節”始まっちゃったか」
とつぶやいていたのが
可笑しかった。

地域のおじさまおばさま主催の、
なんのしゃれた趣向もない、
よくある盆踊り大会だ。
でも毎年聴いてると
いつもおなじようでいて、
実はセットリストに1曲か2曲、
去年かかってなかった曲がまじってる、
ってことに気づかされる。
新しい1、2曲が加わるかわりに、
去年かかってた他の1、2曲が
消えているのかもしれないが、
それはちょっと判断できない。
覚えてない。

・・・

読売新聞の昨日かおとといの
「人生案内」、おもしろかった。

相談者は、40前の男性。
いまは働いてるが
将来は大学院で
大江健三郎を研究して、
ゆくゆくは作家になりたい、
だが妻には反対されている。
というような相談。

回答者は、
ズッコケ精神科医の野村氏。
この人なんかやっぱり
相当ヘン・・・
でも、いいんだよなあ。

相談者の男性が、
おそらくいままでだれにも
言ってもらったことが
なかったであろうことを
この野村先生はサラッと
言ってのけていた。

すなわち

大学院に行くことと作家になること
両方とも夢なのはわかるが、
現実とのすり合わせは必要だ
志望を整理したほうがよい
作家になるのにかならずしも
大学院に行く必要はない
ところで文芸で身をたてたいわりには、
あなたの手紙の文章には、
文法的誤りや誤字がやや目立つ
それを学び直すために
大学院へというのなら、
考え方はまちがっていないとおもうが
一度その大学院の先生などに
自分が書いたものを読んでもらって
センスがあるかどうか意見をもらうことを
進路を考える手がかりにするのも
いいのではないか。

こんなかんじ。

人生案内の回答者陣には
たしか眉村卓など、
本職の作家さんもいるが
なぜ今回は作家でない人を
回答者にしたか、
なんとなく、わかるような気もした。

この相談者の男性が
これからどうするか
ちょっと気になるな。

「作家になりたい割に文がまずい」
これは相当ショックであろうとおもう
でもそこで怖くなって
やめてしまうのか?

・・・

コンテイジョン
原題:Contagion 
スティーブン・ソダーバーグ監督
2011年、米

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movie.walkerplus.com


おもしろかった。
こんなおもしろい映画が、
去年やってたってこと、
全くしらなかった。

謎の病気が世界中で大流行。
みんなを救おうと奮闘する専門家たちと
恐慌におちいる世界中の人々の、群像劇。
この手の物語は
けっこうある気がするが
なんか、しゃれててよかった。
人を喰ったような、
軽めのシーンの羅列に、
むしろ震え上がるような恐怖を感じた。

なにごとも、人間に対応可能な
難易度やスピードで、
都合よく ことが進むなんてことは、
ないんだな。

それとおなじで、
ものすごく頑張っても
なんの成果も出せなかったのに、
ある時あっけなく、
たまたま突破口が見えたりも
するもんだともおもう。
努力を少しもしなかったとしても、
問題が解決することが。

お涙頂戴の雰囲気じゃ
なかったのがよかった。

多くの人たちが、我が身と、
家族などの守りたい者たちを
優先しようとして
他人をおしのけ、
醜い行為に走っていた。
医師やWHO関係者、
米国の医療委員会の
えらい人などさえもそうだった。
でもことさらそれを
「すごく醜くて悪いこと」という視点では
描いていなかった。

ドラマチックではないけど、
小さく、深く、鋭く、
心に刻まれていく映画だった。

ケイト・ウィンスレット
マリオン・コティヤールがすてき。
きれいには撮ってもらってなかった。
役柄上、ふたりともお化粧も
あまりしてなかった。
自分も瀕死でありながら、
寒がっている隣のベッドの患者に
上着を譲ろうとする場面には、
さすがにすこし泣いた。

ドラマチックすぎず
冷たい印象の音楽が
映画の雰囲気に合っていた。