読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

「ファイヤーフォックス Firefox(1982)」。

クリント・イーストウッドという映画監督/俳優さんが好きだ。


この人が監督した映画や、出た映画で、自分がこれまでに観たものは、
例外なくみんなおもしろかった。
なにか、わたしの性に合ってるというのかな。失礼かもしれないけど。

そういうかんじ。いつも。


なかでもわたしが好きな映画
ファイヤーフォックス
(原題:Firefox イーストウッド監督・主演、1982年、米)
っていうのがある。

movie.walkerplus.com

これ、古い。けど、おもしろい。



冷戦時代。
ソ連ですごい戦闘機が開発されたという情報が、NATOに入ってくる。
レーダーに存在を感知させない上に、
パイロットの思考を読み取って、打ちたい方向にミサイルを打ったりできるなど、
ほかのどんな機種よりも進んだ機能をもった戦闘機だ。
呼び名はファイヤーフォックス


世界の戦力の均衡が崩れることを危惧するNATO加盟各国は
これに対抗できるような優れた戦闘機を作りたいが、
とてもすぐにはできそうにない。
そこで、ここはひとつ、ファイヤーフォックスを失敬してきちゃおう!
ということに。
盗んできて研究すればいい戦闘機ができるかもしれない。

敵対国のソ連に忍び込んで、盗んだ飛行機に乗って帰ってくるという
インポッシブルなミッションの遂行人に
ガントという男が選ばれる。
彼は米空軍の元凄腕パイロットだが
戦争中の体験がもとで、心に癒えない傷を負っており、
退役してからは静かに田舎で暮らしていた。
パイロットとしての腕がいいのはもちろん
母がロシア人で、
ロシア語をネイティヴに話せることから
NATO公認盗っ人をつとめることになってしまった。

はたしてガントはソ連から
ファイヤーフォックスに乗って帰ってくることができるのか。

という筋の映画だ。



古い!
イーストウッドが若い!



だけどおもしろい。
話がわかりやすくすっきりしていて、しかも最後まで楽しめるように工夫されている。
具体的には、2時間の映画の前半と後半でテイストをみごとに変えている。
そのくせすごくその切り替えが自然だ。
こういうふうにひとつの映画のなかでテイストを変えたりすると
だいたい「中途半端に、2本の映画を観た」かんじがするというか
ちぐはぐなかんじがしておもしろくなかったりするものだ。

でも「ファイヤーフォックス」ではテイストが変わるからといって、
おもしろさが失速したりしない。


前半は、
ガントがソ連に潜入し、軍中枢部の、ファイヤーフォックスがある格納庫に近づいていくまでの
スパイ・アクション。
後半は、シンプルなエア・コンバット。
というふうになっている。


前半と後半のかわりめに、違和感がないのは、音楽の力も大きいかなあとおもう。


とくにガントがファイヤーフォックスに向かって歩いていく場面の音楽は
ちょっと、いま聴いてもまずほかにはないかんじ。
シンセサイザーかとおもうが、すごく個性的だ。
それでいて場面にぴったり合っている。

あのシーンはいい。
あれはかっこいい。

ガントはソ連に潜入してからというもの、
行く先々で尾行されるわ怪しまれるわ殺されかけるわ、気が休まるときがない。
おかげでこれ以上ないほど神経が参ってて、
このうえ戦闘機奪取などという大仕事をこなすのは、とてもじゃないが無理そうだ。
だれか代わってやれよ、ってかんじだ。

それがファイヤーフォックスの操縦桿に手をかけたときから別人のようにかっこよくなる。
腕利きのパイロットの血が呼び覚まされるかんじだろうか。
このガントの変貌ぶりもみどころかとおもう。

情けなく弱り切ったガントも、二枚目のイーストウッドならわるくはないが、
やっぱり後半からのガントのほうが、かっこいい。


後半へ突入するときの音楽は、・・言いたかないが、ダサい。

なんでかなー
サンダーバード」みたいな(=_=)

この映画にたいして、もし不満があるとしたら、わたしはこの点かなあ・・


エア・コンバットパートはすごくシンプルなかんじながらも
戦闘機ってこんなアクロバティックなことできるんだ!
と目をみはるシーンの数々に、時がたつのを忘れる。

特撮なんかは今の映画と比べものにならないが
それにしてはよくぞこんな迫力あるシーンを・・とおもうよ。


怪しいやつが国に潜入してきたらしいと警戒するソ連側において、
主力政党の党首がじつに鼻持ちならないイヤなおっさんだ。

無線でガントに話しかけるところは貫禄と威圧感があっていいとおもうのだが、

事態が悪くなってくると 自分はなにもできないくせに横から口をだして
「どうするつもりだ!」とか「ああするべきではなかった」とか
いちいちうるさいのだ。

錆び付いた昔の知識しか持ち合わせてないのに、
勝手にみんなに指示を出したりして、現場責任者を困らせる。
立場が上なだけに、みんな逆らいにくいのに。
そのくせ出した指示がまったくの見当はずれで、うまい結果がだせないと
「おまえの責任だ」などと現場責任者になすりつける

いやまったく最低の上官だ。
こんなおっさんと一緒に仕事をするのは、いやだ。

どこにでも困った上司はいるんだね。

旧式で狭量、威張りっぷりだけ超一流と、
これでもかってくらいカリカチュアライズされた「むかつく上官」がソ連側にいるってとこに
「東西冷戦時代のアメリカがつくった映画」、ってことなんだろうな・・
という感じがすこしある程度で

「わが国が正しい」みたいな
戦争ものによくある、鼻につく雰囲気は
それほどない。

ある、という意見もあるかもしれないが
まあ、わたしはそんなに気にならなくて、
さすがだなやっぱりイーストウッドは理性的で、いいなっておもう。

あまり重いことを気にせずに、楽しめる映画だ







この映画に、癒しの効果などはまったくない。はずだ。

だがなんというか
すっきりわかりやすいお話運びに、清潔感、理性と秩序が感じられる。
昔の映画ならではの、どこかゆったりしたテンポ感もすごくいい。

わたしはかなりよくこの映画を観る。
家に録画テープがある。家族のなかでもわたしくらいしか観ないが



スカッと気分転換をしたいけど
人が10分にひとり死んだり、
車とか建物とか5分に1回爆発する映画を観たいかっていうと
そうでもない、


そんなときは「ファイヤーフォックス」がおすすめ。