BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『ツレがうつになりまして。』-120726。

かつて我が家のかかりつけだった、
近所の内科クリニックが、
閉鎖になってた。
でも、おなじ建物で、
またべつのお医者が
内科クリニックを開業するらしい。
いま、改装工事中だ。

・・・

ツレがうつになりまして。
佐々部清監督
2011年、日本

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www.youtube.com


原作のマンガを読んだことがあるのだが、
読んでいた時、わたしは
このマンガが実写映画化されるとしたら
オープニングはどんな感じかな、と
かなり具体的に想像していた。
わたしの想像では、のっけものっけから
「ツレ」が奥さんに
「死にたい・・」と真顔でつぶやくシーン、
から始まるんじゃないかなと。
原作のマンガに実際にあったエピソードだった。
奥さんが「ツレ」の異変にきづいた、
それが最初であったらしい。
読んでいてかなり印象深いエピソードだった。
だから映画のストーリーも
そこから始まると思っていた。
「ツレ」の死んだ魚のような表情の
アップから始まるイメージだった。

実写映画化されていたと知って、
早速観てみた。

オープニングは、
結果、想像していたのと全然違った(笑)
でも実際のオープニングも、
とてもいいシーンだった。


全体の感想としてはまあ
期待どおり、おもったとおり。
感動的だったし、そこそこおもしろかった。

堺雅人のあの顔つき、
わたしはじつのところ いつもは
「なんかきもちわるい」と思っている。
何を考えているかわからない、
ニヤニヤしたような目つき。
ゴールデンスランバー』(2010年)なんかでは
堺雅人が演じた主人公が
ちょっとイケメン、という設定になっていたが
この男のどこがイケメンなんだ・・・と
と それだから わたしはおもったものだった。
ただ
本作『ツレがうつになりまして。』に限っていえば
あの堺雅人の何を考えているのかわからないかんじが
役柄に非常にハマっていた。

堺雅人宮崎あおい
ほんとうの夫婦のように
ぴったりお似合いだった。

それにしてもきつい病気だ。
うつというのは。

苦しんでいるときや
気分がおちこんでいるときの
「ツレ」さんの心のなかに
自分も入り込んで
その気持ちを同時体験することは、
さすがにできるわけがないが
でもまったく想像できないわけではない。
落ち込むことは誰にだってあるし、
死にたくなるときだって
生きてればなくもないからだ。
ただ、病気でなければ
そのつらい気持ちは一過性のものだ。
うつは病気であるから、
浮上したくてもできない。
こんなきついことはない。
いつもできてたことができなくなる
背中や腰が痛くなる
そんなことも起こるなんて
知らなかった。
心というか、脳の病気ということのようだ。

でも ちゃんと薬を飲んで
しっかりぐうたらし
心身を休ませることができたなら
つらいときと つらくないときの波を
何度か乗り越えやり過ごした先に
かならず回復の時がみえてくる、
ということもわかった。
つらいときの波が非常に大きいので、
一生治らないのではないかというような
暗い気持ちにもなるだろうが、
いつかかならず楽になるから
心配しなくて大丈夫だ、と
まわりのだれかが
温かく見守って
伝えつづけてあげられたら・・・
そのメッセージは
地獄の苦しみを味わっている
そのときには、
とても当人の心に響かないだろうが
暗闇のなか 海を渡る舟にとっての
はるかむこうにみえる
灯台のあかりのように、
もしかしたら いつか、
そのメッセージが
心の回復の
支えになるかもしれない。
あとにならないと
わからないことだが。

こんなきっつい病気になったら
そりゃだれでもひと思いに、
死にたくもなるだろう。
それがこの病気の症状なのだから
あたりまえだ。
でもその波を何度かやり過ごせたら、
ちゃんと楽になれる時が待っている。
なんとか踏みとどまって
死ぬのだけは、
くいとめていきたいものだ。
本人にも、周囲のささえる人たちにも、
忍耐がひつような病気みたいだが
でも脳なんてほんとに繊細で
複雑なシロモノなのだから
誰だって
調子が悪くなることくらいあるだろう。

なっちゃうものはしかたがない。