BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

「ダークシャドウ Dark Shadows(2012)」。

ダークシャドウ
(原題:Dark Shadows ティム・バートン監督、2012年、米)

movie.walkerplus.com




観てきた。


ねらったわけではないが、公開初日だった。
混んでいた。


おもしろかった。


設定がなにか、
アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」に似ていた。

ぜんぜんちがうのだけど・・似ていた。

くわしく 似ているところを挙げてみると


・長い間、不本意に閉じ込められていた男が解き放たれる

・男が閉じ込められていた事情に、恋愛トラブルと周囲の謀略がからんでいる

・男にはものすごい財力とビジネスの才能がある

・物語に「海」が深くからむ。「船に荷物がいっぱいに積まれている」とか
「港が栄える」とかいうことが、豊かさの象徴と、はっきり示される。



そういうところがちょこちょこ「モンテ・クリスト伯」に似ていた


でもジョニー・デップが演じた「解き放たれた男」は、
エドモン・ダンテスとはまったくちがう人物だった。



モンテ・クリスト伯」では、
ダンテス自身が、ものすごく長い間、死んでも死にきれないくらい激しく、
特定の人物を憎んでいるのだが、

ダークシャドウ」では
ジョニー・デップは、言うほどじつはだれのことも憎んでいなかった。
怖いのは外見だけで、彼の心はジェントルマンそのもの。
なにかを憎んでいるとしたらそれは
「意志が弱くて誘惑にあらがいきれなかった自分自身」、
「空腹をみたすために紳士にあるまじきことをしなくてはいけない、ヴァンパイアの自分自身」。
どこまでもにくめない、
言ってはなんだがちょっとまぬけな、悪くないやつだった。


エドモン・ダンテスがかかえるあのすさまじい憎しみにあたるものは、
ダークシャドウ」では、べつのキャラクターが持たされていた。

憎しみというか
可愛さあまって憎さ百倍、
「愛している」がゆえに、愛し返してくれないことが憎らしくて恨めしくて、
その男だけでなく一族郎党末代まで祟ってやる、
というくらい男を憎んでいる、女がいた。

その女を演じたエヴァ・グリーンの美しさには、
まさしく魔性を感じさせるものがあった。
ぴったりの人を連れてきたなあと感心してしまった。

愛しているけど、ほんとに愛してるのは男ではなくて
自分自身であるというところまで、うまく演じていたなとおもう。



こんなことを言うのは失礼かもしれないが、

ティム・バートン監督が腕をさらに上げていたように感じた。

特にさいしょのところ、

いかにもというかんじのゴシックホラーシーンから、
アメリカンニューシネマシーンへの
転換っぷりが激しすぎてそれこそ吐き気をもよおしかねないくらいの転換を
ものすごくおしゃれに、あざやかにやってのけていた。

オープニングでわたしの心をがっしりつかむ映画としては
いままで観てきたなかでもトップ10本に食いこむうまさだった。

ティム・バートン監督には、
こういうことをやるイメージがあんまりなかったので驚いた。

でもそうでもないのかな。

撮りたいように撮るためにはどんなことだってする人なのかな。
わたしがただわかっていないだけなのかもしれない。



すっかり引き込まれた。

本気なんだかふざけてるんだか、
泣かせたいのか笑わせたいのか
それともどっちもさせたいのか
考えたら負けの映画だった。


だれもがすごく集中して観ていたとおもう。


会話シーンがなんとなく、もとめているより体感的につねに数秒長くて、
だらだらつづくようなテンポが、よくないといえばよくないような、
冗長といえばそういえなくもないような、

でもギリギリのところでうまく調整をつけていて
結局なにやら観てしまう、振り回されてしまうこのかんじは
やっぱりだれにでもできるものではないだろう。

映像もすごく変わっていて、目に焼き付く美しさがあった。

みんな、そこそこふつうの人なのに、
だれもがなにか、ちょっと変だった。


ヘレナ・ボナム・カーターは監督にとって
見てておもしろくてしかたない、
変わった動物みたいなかんじなんだろうか。
たいていこの女優さんに、へんな魔女役とか悪い女王さま役とか
奇っ怪な役をさせているけど、
それがこんなにハマって見える人もほかにいない
かなりやせている人のはずなのに、
この映画のために体重をふやしたんだろうか。
脚をみたかぎり、太ったように見えなかったけど
すこしはふやしたかもしれない。
歩き方とかでもうまく「ちょっと太めのおばさん」を
表現していたようにおもえた。





かぎりなくへんてこだが、質の高い映画だ。


現実逃避したいときにうってつけだろう。


ただし都合上どうしても、「血」はいっぱい出てくる。
そういうのが苦手な方にはおすすめできない。