BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

「麒麟の翼 (2012)」。萩尾望都の対談集。

映画はネタバレしてません。本はすこし、内容に触れています。


きのう、「麒麟の翼」を観た。
土井裕泰監督、2012年、日本)

movie.walkerplus.com




おもしろかったなーと、きのうは思ったが、
1日経ってみるとそんなに印象に残っておらず、
意外と薄味だったんだなというかんじ。
2時間ドラマっぽいといえば、ぽい。

濃かったのは、加賀恭一郎の顔だけかー


東野圭吾の小説が原作の映画は、意識してるつもりはないが
いままでたまたま、どれも観てて、
そのなかでは「容疑者Xの献身」がもう、絶対的におもしろかった。

ただ単にどれくらい感情移入できたかってことなんだろうな。
人によって、どういうのに感情移入するのかは、ちがうしね。

麒麟の翼」は、子どものある方にはかなり「来る」映画じゃないかとおもう。

親子で観たりするといいのかもしんない。
観てて飽きるということはなかった。おもしろかった。

わたしの感想などまったく信用ならないので。興味がある方は是非。



萩尾望都

「マンガのあなた・SFのわたし 萩尾望都 対談集 1970年代編」

河出書房新社
を読んだ。

www.kawade.co.jp





萩尾望都さんのマンガはおもしろい。それに画がきれい。
この本を買ったのも、萩尾望都さんの画がたくさん掲載されているんじゃないかとおもったから。
本の内容自体に関心がそれほどあったわけじゃなかった。

ところが、読んでみたら内容もすごくおもしろかった。
手塚治虫石ノ森章太郎美内すずえ寺山修司などといった
そうそうたる方々と対談している。
好きな人にはたまらないだろうなあ。

手塚治虫寺山修司との対談がおもしろかった。

手塚治虫とのときなんかは、萩尾望都さんが緊張しすぎて、
わけわからないことになっており、
手塚治虫のなげかける質問の趣旨を、ぜんぜん萩尾さんが理解できておらず、
意味不明な受け答えをしていて、なんだかおかしかった。

手塚治虫萩尾望都さんのマンガを読んで、
萩尾望都さんがどういう考えのもとにあのマンガを描いたのかとか、
なにから影響をうけたのかとか、
いろいろと聞きたかったようで、
「こう考えたの?こういう本を読んできた?」などと尋ねるのだが、
萩尾さんは「いや、そういうわけでは・・」
「その本はつい最近読みました」「よくわかりません」
みたいになっちゃってて、話が進まないかどんどん別の方へそれていっていた(^_^;)

とはいえ手塚治虫も鷹揚なのかテキトーなのか、あんまり深く考えてなくて
まったくかみ合ってないけれどなんとなくたのしいかんじに語り合っており、
これはこれで悪くない対談のような気がしたが。

萩尾さんも、背伸びして、いいところを見せようなどと、
これっぽっちも考えていないらしい点、
ある意味、すごい度胸だ。

本人によるあとがきによれば、
やっぱり手塚治虫との対談のときは すごくアガっていたようだ。
手塚治虫がなにを自分と語り合おうとしていたのか、
何年もたってようやくわかったらしい。

そんなもんだよな!
マジでそんなもんだよ!
ドンマイだよ!



寺山修司との対談は、寺山修司の頭の構造が謎すぎる。
寺山修司の、唐突にしてわけのわからない質問に
萩尾さんが困り果てつつ、一応つきあって
一生懸命答えることをとおして、対話が広がっていっている。

寺山修司はたぶん、その回答いかんによって、
彼女が評価に値する人物かどうか決めようとしていたとか、
そんなつまらない精神分析ごっこをしかけていたつもりではないだろう。

ただ単純にそういう気分だったか、
緊張していたであろう若い萩尾さんをリラックスさせようとしたとか、
いずれにせよえらくユニークな人だったんだとおもう。

寺山修司の繰り出す質問もわけわからないが、
萩尾さんの回答も負けじとえらいことになっている。

でも必死で返した答えにしてはなんだかおもしろく、
寺山修司をもちょっとうならせもしているようだ。

たとえば
「生きたカタツムリを100匹もらったら、何に使いますか。」
「困ったなあ・・。お庭に穴掘って、オイルかけて焼きます。」

※萩尾さんが子どもの頃住んでいた場所は、
土地が乾燥していたので、カタツムリがめずらしくて、
見つけると喜んだのだが、
寺山修司と対談したころの住まいは湿気がおおく、
逆にカタツムリが出まくるのでうんざりしている、というのが理由。


「この世でいちばん遠い場所はどこだと思いますか。」
「うんと遠い場所、ね。”自分が一歩進んだ時の前の位置”。」
「うん?ああ、そうですね。前の位置ですか。」
「はい、一歩前にいた位置。」
「なるほどね。」

なんか、深い・・


あと、寺山修司との対談を読んでてもうひとつおもしろかったのは、
当時 萩尾さんが連載をはじめていた、新作への、寺山修司の反応。

萩尾さんの当時の最新作は「百億の昼と千億の夜」という、
光瀬龍の同名の小説が原作の、SFもの。

女性のマンガ家さんがSFを描くことがいまよりめずらしく、
萩尾さんがほぼひとりで、その道をきりひらこうとしていたようなときだった。
百億の昼と千億の夜」は、女性マンガ家の萩尾さんが少年誌に連載していたことや、
原作がすごく高次元のおもしろい小説だったこともあって、連載開始前から、
いろいろ話題になっていたらしい。

手塚治虫など、ほかのマンガ家さんも注目していたらしく、
この対談集でも多くの人が、文字にするとけっこうな量になるくらい、
時間をさいて、とりあげている。
萩尾さんがどんな考えからあのマンガを描こうとしたのか、
あのむずかしい小説をどうまとめようとしているか、
みんな、知りたかった。


けど寺山修司の場合は
「いま連載ものがあるわけ?」
少年チャンピオンに毎週20ページです。」
「なんというものですか。」
百億の昼と千億の夜。」
「SFですか。」
「編集の人がSF好きなんですね。」

以上。

どんだけ淡泊なんだ。寺山修司もだが萩尾さんも。



寺山修司に会ってみたかった。



わたしのはじめのねらいどおり、
萩尾さんの作品のカットがたっくさん掲載されており、
解説もついていて、とても楽しい本だった。
対談相手がマンガ家の場合は、その人の作品の画も、何点もみることができた。

わたしもだいぶ萩尾さんのマンガを読んでいて、
対談のなかで「あのマンガのあのシーンが、あのセリフが」という話題になったとき
「ああ、あれね」となる確率がかなり高くて、われながらおどろいた。

基本的には1970年代におこなわれた、
当時の大先輩や同世代の仲間との対談集だけど、
さいごに特別企画として、「ハチミツとクローバー」の作者の
羽海野チカさんとの対談が掲載されていた。

やっぱり 羽海野チカさんは萩尾さんの影響をつよくつよく、
受けてきた人なんだなあ。
でもただの模倣や焼き直しではない。
羽海野さんは羽海野さんで、もうとっくに、おもしろい。




楽しい本だったとおもうな。買ってよかった。
サブタイトルが「1970年代編」などとなっていて、
もしかして80年代編とか、
続編を意識しているんじゃないかと思わされた。
もしそうなら、出たらぜったい続編を読みたい。

諸星大二郎さん、井上雄彦さん、尾田栄一郎さん、
空知英秋(よびすて)とかと対談してみてくれないかな。
もっとも空知英秋には萩尾さんが興味ないかもしれないけど(^_^)