BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『宇宙人ポール』-120131。

原題:Paul 
グレッグ・モットーラ監督
2011年、英・米

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観たかいがあった。

自分にしてはめずらしくSFもので
観てみたい!!と思った作品だったので
観るのをとてもたのしみにしていた。

SFもの、宇宙もの、
未来ものにあまり関心がない。
そんなわけでスターウォーズ
未知との遭遇も観たことがない。
バック・トゥ・ザ・フューチャー
エイリアンシリーズ
アバターだって観なかった。
エイリアンなんか、SFなだけでなく
スリラーでもあるので
永遠に観ないとおもう。

だから、たぶん本作の随所に
ちりばめられていたのであろう、
SF映画の古典群へのオマージュや、
パロディネタに、
わたしはまったく気づかずに
観ていたとおもう。
もちろん、そういうのの元ネタが
わかればもっとおもしろかろうが、
わからないんだから
まあしょうがないとして、
・・・それを差し引いても
十分、おもしろかった。
笑ったー。
しかもさいごに、ちょっと心あたたまった
気さえしてしまったのが、ニクかった。

役者さんの演技や
セリフのおもしろさだけで
「笑えるおもしろい映画」との評価を
ほしいままにしようというのではなく、
アホな映画をつくることにかけて、
手抜きをしていないかんじがよかった。
よーく観るときっちりと
ていねいなつくりがされており、
製作者の心意気にうたれる。

たとえばポールの、
あのキモカワイくも人間くさい動き。
それだけ見てても
この映画にかけられた
貴い手間ひまが感じとれた。
生身の人間の動きを
コンピューターにとりこんで、
映像づくりに生かしたにちがいなく、
ポールが全編出ずっぱりの
大活躍であることをかんがえれば
とりこんだ人間の動作の数には
膨大なものがあるとおもう。
というかほんとにわすれてたよ!
ポールが現実にはいない
キャラクターだってこと。
リアルすぎて!
そうか、CGなんだよな!
あたりまえだけど!
ポールの動作には、
一種のくせみたいな、
性格みたいなものすら感じられた。
たぶん彼の動きをつくるために、
特定の、生身の人間の誰かがしっかりと
ポールの「役作り」をしたんだろう。
「一般論」としての
エイリアンではなく、
「ポール」だった。

このくらいの作り込みは、
ほんとうにどんな映画でも
やっているんだろうか。
わたしはそうはおもわない。
ここまでやらなくても
コンピューターと
クリエイターの腕さえあれば、
ある程度のものが
いくらだってつくれただろうに、
宇宙人ポール』は
生身の人間が、手間ひまを
きっちりかけて
作った映画なんだろう。

アメリカナイズされまくったポールの、
救いがたい人間くささ、
おっさんくささには
わたしですら 観てて
ちょっとがっかり(なぜ。)
したくらいだった。
観ているうちに、しかし彼に
だんだん好感をもつようになっていった(^_^)
たしかにおっさんくさいのだが
気がやさしく楽天的で
男気あるところがよかった。

60年前に地球に降り立った際、
ひどくめいわくをかけてしまった
人間のおばあちゃんにむかって、
ポールが別れ際にかけた言葉が、
なかなか感動的だった。
いっしょに映画を観た友だちは、
そのセリフに完全にフォーリンラブ状態で
映画を観たあとしばらく、
その話しかしてなかった(^_^)

ポールを故郷の星に帰す手伝いをする、
ふたりのオタクのうちひとりは、
ミッションインポッシブルの
サイモン・ペッグ
この人すごくおもしろいなあ・・
オタクその2は、あんまり目立たなかったが、
オタクその1との友情をたいせつにするいいやつで、
彼も不可欠なキャラクターだった。

それにしても、このオタクコンビは、
ほんとうにダサかった。
ダサいのに輝いていた。

とちゅうから旅に加わる
きれいなおねえさんも、
お顔がきれいなのに、
言うことがすごいので、
破壊的におもしろかった。
もしかしたらほんとうは
サラ・ジェシカ・パーカー
出てほしかったけど 
断られたのかな、とおもったくらい、
ルックスがサラに似ていたが、
この人もこの人でハマっていた。

アホもここにきわまるというかんじの、
いい映画だったとおもう。

観て決して損はない、たのしい映画。
みんなでいっしょに笑って観られる。
アホ最高!