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BRILLIANT CORNERS-2

観た映画・読んだ本など関心ごとへの感想メインの、なんということのなさすぎる身辺雑記帳です。 少しずつ、いろいろ更新してまいります。 お気が向いたらお読みいただければさいわいです(^O^) ブログのタイトルは、セロニアス・モンクのアルバムから。「すみずみまで光り輝く」というような意味だそうで、なんとなくいいなとおもうもんで。

「孫文の義士団 十月圍城 (2009)」。

 

孫文の義士団
(原題:十月圍城、英題:Bodyguards and Assassins、テディ・チャン監督、2009年、中国
映画サイトの紹介は以下に。↓

 

movie.walkerplus.com


DVDで観た。
「新少林寺」という、いま劇場公開中の映画を観たいんだけど、
なかなか観に行かれないので
かわりというわけでもないが。


孫文の義士団」はスクリーンで観たかった映画のひとつ。

よかった。
だいたいこんなかんじの映画と想像はしていたけど、
おもしろさがここまでとはおもってなかった。

清朝打倒・中国の近代化におおきな影響をあたえた政治運動、「辛亥革命」。
革命の指導者のひとり・孫文が、活動拠点のロンドンから
中国に一時帰国するという情報が 同志たちのもとにもたらされる。
運動のハイライトとして、中国各地で武装蜂起することになったので
その作戦会議のために、帰ってくるというわけだ。
しかし、中国にいる間、孫文の命はたえず危険にさらされることになる。
孫文の運動は海外からも注目を浴びつつあり、支援者が増えてきている一方で
倒されたくない清朝側にとっては彼の存在はもちろん、じゃま。
じっさい、西太后のもとに500人の暗殺団が組織され、孫文の命をねらっていた。
そこで、彼がぶじに会議をおえて中国を発つまで、
同志たちのなかで腕におぼえのある者たちが、孫文の護衛をする義士団を設立。
孫文が中国に上陸し、集合場所にたどりつき、
秘密の作戦会議を済ませ、ふたたび港にもどって船にのる、
この間、1時間。
義士団は、王朝側暗殺団から、孫文の命をまもりきることができるのか。

というストーリーだった。


とくに驚いたのは、セット。
清朝末期の香港に、行ったことがないから、
ほんとのほんとのところがどうなのかなんて、わたしにはわからない。
でも、本などで見たことがある白黒写真の、「あのかんじ」が
再現されていたと思うかどうかでいえば、
まさしく、再現されていたと思う。

陳腐で奥行きの感じられない、いかにもセットっぽいものではなく、
作り手の気合をかんじさせる、巨大な芸術品だった。

あの舗装されてない道路、ほこり舞う町並み、
お金持ちも貧しい人も老若男女雑然といりまじり、
町の大きさにたいして、どうかんがえても人間多すぎの密度でひしめく、
カオスな雑踏。

あの町を駆け抜けながらくりひろげられるバトルシーンは、相当なかっこよさだった。


ギャンブル好きの下っ端役人
鉄製扇子の男
そして革命運動の支援者である、新聞社社長
の3人が、物語の柱といえば柱。

だが、たくさんの人が各々事情や気持ちをかかえて闘う群像劇、
といったほうが合っているかとおもう。
ほかにも魅力的なキャラクターがたくさんでてきていた。


ギャンブル好きの下っ端役人(ドニー・イエン)がすばらしかった。

下級役人程度の人に、あのような一級品のカンフーを身につける
金やチャンスがあったのか
とか、
カンフーの心得があるといっても、
ギャンブルまみれのクズみたいな生活をしてた男が
急にあんな大役をひきうけて、体が動くのか。
とか、
現実との折り合いをもとめようとすると、設定がだいぶぐらつく気もしたが、
泥くさくワイルドなバトルシーンはすばらしかった。
洗練されてないかんじが、かえってよかった。

ドニー・イェンの、あの顔は、なんかあんまりすきじゃないが。


鉄製の扇子を武器にして闘う男(レオン・ライ)も、
雰囲気があってよかった。

この人は革命の同志というわけではないが、
個人的に非常に重い過去をかかえており、
生きながら死んでいるというか、もう、
この世に生きる意味を、感じておらず、
ホームレスみたいな状態になって無為にながらえている男。
かつて新聞社社長に、一晩宿をかり飯をたべさせてもらった恩から
義士団にくわわることを承諾し、このはたらきでもって、
自分の人生にけりをつける決意をする。

彼のバトルシーンは
「よっ!待ってました!」というかんじでかっこよかったわりに、
なんかあんまり強くなかったような気も。
役目は、15分間、敵襲をくいとめることだったのだが、
かなり早い段階で、ほぼ死にかけてた。
ちょっと残念。もう少し無敵感がほしい。
でも本人は死に場所を求めていたんだから
いかにけがをせず生き残るかは問題じゃなかったので
積極的に死ににいく戦いかたになってたのはしかたなかったのかな。

新聞社社長(ワン・シュエチー)は
もう 気の毒で切なくてちょっと 見ていられないものがあった(T_T)
あれはないわ。あの人はかわいそすぎるわ。

登場人物全員を深く掘り下げるわけにはいかなかったようだが
俳優さんたちが一生懸命に演じていたからか、演出がよかったからなのか
「中途半端」とか「薄味だなあ」などとは、わたしは感じなかった。
アクションが見せ場の歴史物の映画で、これだけ人物に説得力があれば、
もう十分といっていいんじゃないか。


ちょっとまえにジャッキー・チェンの「1911」を観たおかげで、
社会科で習った辛亥革命の知識を、記憶から掘りおこしたまま、
まだ、しまいこまずに残してあったのだとおもう。
観ていて、わけがわからなくなるようなことはなかった。

男の人が、弁髪でみんなおなじ顔に見えてこまったが・・

自分はいま、国家をゆるがす革命の渦中にいるわけではないので
映画に登場した人たちのような、苦悩をいだくこともない。
その意味では、キャラクターたちに感情移入がしにくかった。
また、ファンタジーなのかなんなのか、真剣なのかジョークなのか、
微妙なネタがちらほらあった。
しかし、
ダイナミックかつなかなか繊細で、いい映画だった。




孫文の義士団」お気がむいたらぜひ。