BRILLIANT CORNERS-2

本や映画の感想。まれにやる気があるときは別のことも書いています。

映画の感想-『スウィート・ヒアアフター』-170205。

ひさしぶりにDVDで観た。

原題:The Sweet Hereafter
アトム・エゴヤン監督
1997年、カナダ

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雪の日か 2月くらいになると
おもいだして 観たくなる映画だ。
冬のカナダの山間部が舞台の物語だからだろう。
雪道を走行中だったスクールバスが湖に転落、
乗っていた20人もの子どもたちが犠牲になる大事故が発生する。
街にやってきたスティーブンス弁護士は
被害者遺族による原告団を結成、
バスを作った会社を相手取った賠償請求訴訟の準備を進める。
しかし、事故の生き残りの少女がある重大な証言をしたことで
事態の様相が変化し始める ・・・
まあそんなような だいたい そんなような物語だ。
ほんとはぜんぜんちがうけども!!

『ピクニック・アット・ハンギングロック』(1975年)
みたいな魅力がある映画だと思う。

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言葉で解説することになんの意味もない。
筋書きはちゃんとあるのだが、それが理解できたからといって
どうなるものでもなく、感じ取ることを楽しむ映画。
どこがいいんだか さっぱりわからんという人もいるだろう。
みんなほめるけど自分にはよくわからない映画、なんて
わたしにもいっぱいある。

でも『スウィート・ヒアアフター』は、わたしは好きだ。
生き残りの少女を演じたサラ・ポーリーが いつ見ても神秘的。

また来年の今くらいの時期におもいだしたら観よう。

20年前の映画なので 
登場人物たちが使っている 携帯電話が超デカい。

アトム・エゴヤン監督の
手紙は憶えている』と
サラ・ポーリーが監督した
テイク・ディス・ワルツ
みたかったんだよなー。

・・・

現在公開中の映画では
『沈黙』と『スノーデン』と『ローグワン』がみたい。
マグニフィセント・セブン』ももう4回くらいはみたい。
マグニフィセント・セブン』たのしかった。
あと『破門』もちょっとみてみたい。
佐々木蔵之介がでるから。
でもどれも地元の映画館では 都合のいい時間にやってない。
来週の土日は連休だから すこし遠出して
の映画館にいってみたい。

映画の感想-『ザ・コンサルタント』-170122。

きょうは午前中は洗濯をしたり 
ノラネコに手をかまれたり
あと ノラネコに
ヒザにパンチをくらったりし
午後おそくになってから外にでて、
映画をみにいった。

ザ・コンサルタント
原題:The Accountant
ギャビン・オコナー監督
2016年、米

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主人公はクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)。
アメリカの田舎町の会計事務所で働く公認会計士だ。
愛想がないが、数字には図抜けて強い切れ者で、
地元の老夫婦の、お金の悩み相談なんかを
うまくさばいたりして、とても優秀な男だ。
そんなウルフのもとに、ある日、
大企業から 財政調査の依頼が入る。
社内の会計補佐のデイナ(アナ・ケンドリック)が、
使途不明金があるようだ、と指摘してきたので、
調べてほしいという。
ウルフはその頭脳を活かして、
やっぱり会社の金の流れがおかしいと証明し、
さらにくわしく調べようとするのだが、
なぜだかここで会社の方から一方的に依頼を打ち切ってくる。
そしてまもなく、ウルフは何者かから命を狙われ始める。
使途不明金の件を最初に指摘したデイナも危ない目に遭うが、
間一髪、ウルフに救出される。
実は、ウルフは田舎町の会計士という表の顔のほかに
世界の超危険人物たちの秘密の帳簿を取り仕切り、
年収10億を稼ぐ裏社会の会計士という顔も持っている。
しかも、仕事を妨害してくる者を抹殺するために、
1.5キロ先の標的も撃ち抜く狙撃術と近接格闘術も備える
とんでもない男なのだ。
受けた仕事が中途半端に終わることが大嫌いなウルフは、
今回も、命をねらわれたくらいでは仕事を投げ出さない。
何としても企業の不正をつまびらかにしようと、動き出す。

・・・
といったストーリーだ。

クライムサスペンスとバトルアクションとドラマとが
よくブレンドされてた。
伏線が何本もはりめぐらされけっこう複雑なのだけど、
どれもほったらかしにされず、順調にほどかれていき
最後にきれいにつながるのが、美しかった。
秩序と予測不可能性のバランスがわたしの好みだったらしく 
あきることなく最後まで楽しめた。
必要な人しか出てこないのも良い。

ウルフ役のベン・アフレックがとにかくハマってた。
見た目といい人物像といい キャラが合っていた。
会計補佐のデイナを演じたアナ・ケンドリックも、
小鹿ちゃんのようでかわいかった。
『50/50』(2011年)に出てた女優さんだ。
デイナが、変わり者のウルフに偏見を持つことなく、
まっすぐに関わろうとする姿がとても良かった。
ウルフは、途中で彼女と別れることになるのだが
「きみは称賛に値する」と置き手紙をして去った。
「みんな僕を怖がって力で押さえつけようとしてくる。
 でも君は非力にも関わらず 僕を怖がらなかった」
という意味だろう。

敵の親玉を演じたジョン・バーンサルも良かった。。
「ほんとはヴァンサン・カッセルに出てほしかったけど
 だめだったからこの人になったのかなー」
とか失礼なことを考えながら最初は観ていたのだが
そんなふうに思ったのは本当に最初の方だけで、
すぐに、この悪役の存在が得難いものに感じられていった。
照明の効果もあったんだろうが、終盤の対決シーンで、
急に子どものように無防備な表情になったのがすごかった。
あの顔をみられただけでもかなり、この映画を観た意味があった。

悪者たちの居場所を探し当てたウルフが
屋敷の窓ガラスを威嚇射撃していくシーンもアツい。
撃たれる悪者たちにしてみればあれは怖いと思う。
闇に紛れ、どこから撃ってきているのかわからないうえに
とってもじゃないが一般人が扱える火力の銃じゃないのに
そのくせ狙いが異常に精確なのだ。
(普通、銃は、火力が増すほど狙撃の精度が落ちるはずだ)
それで分厚い窓ガラスをドッカンドッカンやってくるので
音と衝撃が半端じゃなく、観てるわたしもふるえあがった。
屋敷じゅうの窓が割られたところでようやく銃撃が止み、
静寂が戻ってくる瞬間も
逆に、今度は何が起こるのかと息をのむほど怖かった。

ウルフの近接格闘術、なんだかどこかで観たような
憶えがあったのだが、多分『ザ・レイド』(2011年)の
「プンチャック・シラット」だろう。
ウルフの父親が軍人だったという設定だし、
米軍の戦闘術にシラットが取り入れられているという
話を『ザ・レイド』を観た時にどこかで聞いたことがある。
父親直伝の格闘術、ということなのだろう。
大柄なベン・アフレックがやるので格闘シーンは大迫力。
相手をした悪者たちも、ちゃんとみんな強かったし。

しかしウルフは
仕事を完遂しないと気が済まないというのはわかるのだが
なにも殺さなくても良かったじゃないか、とはおもった。
最後、なんで殺したんだろう。やりすぎのような気がした。
いわゆる「法で裁けないクズの粛清」というのとは
ちょっと 話がちがうんだし・・・。
ウルフのようなのは敵に回すと怖いだろうな。

場面転換や回想シーンの映像表現から想像するに
テレビや日本語吹き替え版で観ると
おそらくあんまりおもしろく感じられないとおもう。
でも、スクリーンで、字幕版で観る分にはとても楽しめた。
公開中の今のうちがおすすめ。
わたしはあと1回くらい観たい。

シリーズ化とかするかもしれない。してもいいかもしれない。
続編がやるなら観たい。弟と再会する可能性もあるし。

映画の感想-『凶悪』-170108。

白石和彌監督
2013年、日本

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雑誌記者の主人公のもとに、
死刑囚の須藤という男から、手紙が届く。
いわく、彼には警察にも話していない、
殺人の余罪が3つある。その殺人は
「先生」と呼ばれる人物の主導で行ったことで
その「先生」は今も罪を問われることなく
のうのうと暮している。
「先生」の罪を暴いて記事にしてほしい。
・・・
主人公ははじめ半信半疑だが、独自に調べた所、
須藤の告発に信ぴょう性があることがわかってくる。
主人公は、記事にできるかどうかわからないまま、
この事件を本格的に追い始める・・・
というようなストーリー。


死刑囚・須藤を演じたピエール瀧
セリフが棒読みぎみで演技もぎこちなかった。
でも、興ざめするほどひどかったわけでもなく、
大健闘していた。
ああいう人間もいないことはないと思う。
多面的な人物像を懸命に演じていた。
どうみてもカタギじゃない風貌と
じっとりと暗くすわった瞳、
貫禄というにはだらしのないゆるんだ体格が
役柄にすごくマッチしていた。

主人公を演じた山田孝之
終始寡黙で何かもの言いたげなのだが 
結局何を言いたいのかよくわかんない、
というのが個人的にやや不満ではあった。
まあ、こんなもんかなあ?と。
闇に葬られかけていた重大な犯罪の証拠を
握っていると思われるキーパーソンが死ぬ。
死の瞬間を目撃した主人公が
すごい叫び声をあげて嘆くシーンがあった。
あれは 
「ああ!これで犯罪の証拠が
 永遠に失われてしまった!」
そう思って嘆いているんだと さすがにわかった。
だけどそれ以外の部分では
主人公の心の動きが本当にわかりにくかった。
全体的にあの主人公のことがよくわからない。


リリー・フランキーはすごかった。
この映画とどっちが先だったかわからないが、
彼は たしか本作とほぼ同時期に
是枝裕和監督の『そして父になる』で
愛情深く庶民的な父親役を演じていた。
あれとこれを、同一人物がやっている、だと・・・
おそろしい。

主人公の妻を演じた池脇千鶴
主人公の母役の女優さんも、よかった。

「先生」に保険金殺人を依頼する一家を演じた
脇役の役者さんたちも、いい演技をしていた。
彼らは、良くも悪くも、
やったことの重大さに一生耐えられるような
強いメンタルの人間ではなかった。 
ああなって、むしろよかったのでは。

「世の中のいずれ死ぬ年寄りどもの首を
ちょっと早めにくくってやるだけで
ねむっていた金があふれだしてくる。
不景気だなんだって言われているが、
あるところにはある。
栓がつまっているだけだ」
「金は、使ってやらなくちゃ回らない。
それじゃかえって世の中もよくならない。
弱って死んでいくだけの
年よりの金庫のなかで 
金を眠らしておくより
自分たちが使ったほうがいい」
先生が、そんな意味合いのことを言ってた。
そんな風に考えているんじゃあ、
こうした悪さをしようと考えるのもうなずける。
すごい思考だ。
そんなことを思ってしまえる「勇気」というか。
一歩ふみだしてしまえる「勇気」というか。
震えあがるわ。
しかしなんでまた
そんなことを考えるように
なったのだろう、「先生」は。

主人公の妻は、夫がこの事件の取材にかまけて
認知症の義母のケアを任せきりにしてくるので
とてもまいっている。しかし夫は
「事件の真相を明らかにすることで
 犠牲者たちの魂が救われる」。
それを聞いた妻は
「死んでいった人たちの魂なんてどうだっていい。
わたしは生きている。わたしは苦しんでいるの」
と 一蹴した。
妻のこの言葉で、主人公の心が 
どう動くかなあと期待して観ていた。
でもやはり、主人公の心が動いたかどうか
よくわからなかった。それがすごく残念だった。
主人公の心の動きがよくわからなかったことが
本作の一番残念な点だった。

役者さんはおおむね大健闘。脇役も光っていた。
でも映画としてはやや冗長の感があった。
もうすこしスピード感があったらおもしろかった。
なんの説明も前触れもなく
当初 主人公視点だったストーリー展開が
須藤の回想視点にシフトしたのも違和感があった。

ひとつ疑問。
いよいよ これがバレたら
須藤が逮捕されるぞという段で
「先生」が、須藤に告げる。
「おまえの舎弟の五十嵐がね、
『ひとりで逃げたいから助けてくれ』って
 相談してきたよ。
 もちろん断ったけどさ」
須藤は残忍な性格だが情にもろい所もあり、 
舎弟の五十嵐をとてもかわいがっている。
その五十嵐が自分を裏切り、逃げようとした。
そう「先生」に聞かされて真に受けた須藤は、
五十嵐を殺してしまうのだ。
・・・
五十嵐が「先生」に逃走の相談をしていたというのは
本当か?
仮に、そんな事実はないにも関わらず
「あんたの舎弟、逃げようとしてたよ」と
須藤に告げ口をしたところで
「先生」に何かメリットがあるか。
他人の人間関係を、ウソまでついて故意に破壊し、
それを眺めて楽しむなどという趣味は
「先生」にはないように思えたのだが。
五十嵐は本当に逃げようとして「先生」を頼ったのか。
だとしてもなぜ「先生」はそれを須藤に話したのか、
あのタイミングで。
そこがどうもよくわからなかった。

あ。
・・・
いや、わかるわ。今気づいたけど わかる。
五十嵐が裏切ったよと須藤に告げ口しても
「先生」にはメリットがない、と今 述べたが、
メリット、あるね。
須藤が刑務所に入り、五十嵐が死んでくれれば
「先生」の立場は安泰なのだ。
彼ら以外に秘密を知る者はいない状況だったのだから。
五十嵐は須藤ほどには「先生」を信用していなかった。
「先生」はそれを察知していたのではないか。
五十嵐を生かしておくと自分のためにならない。
余計なことを他所でしゃべりだす前に消えて欲しい。
できれば死んで欲しい。でも自分で手を下すのも億劫。
そこで、五十嵐の裏切りをでっちあげ須藤にほのめかす。
須藤が勝手に腹を立て、五十嵐を殺すようにしむけた。
そういうことか。

正真正銘のクズだ・・・

五十嵐の
「小銭持ってないっす!」も
そう考えるとすごくよかったんだな。
あれはよかった。あのあとの舌打ちも。

世のなか悪いやつがいる。
でもその人たちと自分とが無関係とも思わない。
みんな同じ人間だ。みんな同じ人間なのだ。

こんなような本はどうですかね。-170103。

まえに、友だちが
読書ビギナーむけに
おすすめの本を教えて、と
いってきたことがあり、
それに応じて書いてみたところ、
ずいぶん多くのかたから
好評をいただいた。
このまえ、また別の方面から
にたようなリクエストがあった。
ここでふたたび 
本の紹介的なことをやってみる。

まともな準備はできなかった。
本棚を整理するのが大変だから。
でも、2016年に
何の本を読んだか、については
記録を残しており、正確にわかる。
そこで旧年中に読んだ本のなかから
よさげに思えたものを
以下に紹介してみた。

いっっぱいあるが
ぜんぶ挙げることはできないから
基準をもうけた。

・「読書入門」にはこだわらない。
「似たような本ばかり選んでしまうので
たまには毛色のちがった本から
刺激を受けてみたい」
とおもっている人、を想定。
・マンガを含む。
・原則1冊500ページ以内。
・文庫かコミックスで読める。
・今 書店に行けば買える。
・具体的なストーリーがある。
・日本語で読める。
・著者存命~死後50年以内。
・詩集と歌集はのぞく。

カテゴリはこう。
・感動、ぐっとくる、考えさせられる
・笑う、ニヤニヤできる、あったかい気持ちになる
・びっくりする、わくわくする、新しい世界が知れる

1冊単位の本の長さ 本の重さが
だいたいわかるようにした。
★★ 荷物を整理すればカバンに入る。
★ うすい文庫本、コミックス。


・・・


■感動、ぐっとくる、考えさせられる

永い言い訳 ★
(ながいいいわけ 西川美和著、文春文庫)
→小説。
主人公の男性が、
妻を旅先の交通事故で亡くす。
といっても留守番していた彼は
妻が大変なことになってたそのとき 
不倫相手を自宅に連れこんで
いちゃいちゃしてた。
夫婦関係はすでにひえきっており
妻の死を知っても これといって
主人公の心は動かない。
しかし彼は
ある出会いをとおして、
永遠に失われた妻との関係や
ザツにあつかってきた自分自身の人生と、
向き合っていくことになる。
やさしさと苦い痛みとにみちた、
二度とは読むのがつらい物語。
著者自身の手で、映画化もされた。

文春文庫『永い言い訳』西川美和 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS



リリーのすべて ★★
(りりーのすべて 
デイヴィッド・エバーショフ著、ハヤカワ文庫)
→海外文学。
1925年頃のデンマーク
アイナーとゲルダは仲のよい夫婦。
アイナーは、あることをきっかけに
自分の心のなかにひそむ
「女性」に気づき、
女性の姿で、「リリー」として
生きることを望むようになる。
夫の変化に当初はおどろいたゲルダも、
最終的には彼を献身的に支える。
やがてアイナー/リリーは、
世界初といわれる性別適合手術
受ける決意をするが・・・。
愛とか理解とかそういう
簡単な話ではない。
心と心の 
すれちがいとつながりの物語だ。
ラストシーンが美しい。
映画化もされた。

リリーのすべて | 種類,ハヤカワ文庫NV | ハヤカワ・オンライン


説得 エホバの証人と輸血拒否事件 ★★
(せっとく えほばのしょうにんとゆけつきょひじけん
大泉実成著、草思社文庫)
→ノンフィクション。
昔のものだが、色あせない。
男の子が交通事故で重傷をおい
病院に搬送された。
輸血をしないと、きびしい。
しかし、両親は輸血を拒む。
彼らが信仰する宗教団体
「(通称)エホバの証人」では、
輸血が禁じられているからだ。
男の子は死亡した。
この件をニュースで知った著者は、
情報を分析するうちに生じた 
あるひとつの疑問を胸に、
エホバの証人」に
じっさいに入信(潜入)、
死んだ子の両親に接近する。
・・・
一般的なノンフィクションとちがって
軽い文章で読みやすい。

説得 エホバの証人と輸血拒否事件 | 文芸社文庫 草思社文庫


裁かれた命 死刑囚から届いた手紙  ★★
(さばかれたいのち しけいしゅうからとどいたてがみ
堀川惠子著、講談社文庫)
→ノンフィクション。
強盗殺人で死刑判決を受けた青年が
弁護を担当してくれた国選弁護人と
自分に死刑を求刑した検察官とに
死刑が執行されるまで何通も 
熱心に手紙を送っていた。
弁護人に礼の手紙を送るのはわかる。
でも検察官にまで
心のこもった熱い内容の手紙を送るなんて
どういうことなのか。
著者は別件でこの検察官に取材したとき
手紙の件をうちあけられ
青年の人生をたどってみることにする。
その結果あきらかになってきたのは、
ある重く哀しい事実。
・・・この本を読んで受けた感動は、
心よりも体に、じかにきた。

『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』(堀川惠子):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部



蝦蟇の油―自伝のようなもの ★★
(がまのあぶら じでんのようなもの 黒澤明著、岩波現代文庫
→映画監督・黒澤明の自伝的エッセイ。
優秀な表現者
文章もやっぱりすごくうまい。
わたしは本作を読んで
黒澤明氏のことが
大・大・大好きになった。
古い本だがぜひご一読を。

蝦蟇の油 - 岩波書店

 

 

エムブリヲ奇譚 ★
(えむぶりをきたん 山白朝子著、角川文庫)
→連作短編集。
旅本作家の和泉蝋庵と、
荷物持ちの耳彦の奇妙な道中記。
和泉蝋庵は変な人で、
旅に出ると必ず道に迷う
・・・というか、
異世界的なところに迷い込んでしまう。
美しく酷薄で、また、
どこか哀しい物語集だ。

エムブリヲ奇譚: 文庫: 山白朝子 | KADOKAWA-角川書店・角川グループ

 

 

モブサイコ100  ★
(もぶさいこ100 ONE作、既刊13巻、裏少年サンデーコミックス)
WEBマンガ
男子中学生・茂夫(しげお、モブ)は、
強力な超能力者。
でも、彼は超能力なんて
すこしも人生の役にたたないと考えている。
そんな力なんかいくらあっても、
自分は勉強も運動も苦手だし、
好きな女子に声をかける
勇気すらない男だからだ。
モブは さえない自分を変えるため、
学校の「肉体改造部」に入部。
先輩や仲間たちとともに
レーニングに励むようになる。
しかしそんな折、
モブの超能力を私利私欲のために
利用しようとする者たちがあらわれて・・・。
とりあえずそうだな
コミックスで3巻あたりまで
だまされたとおもって読んでみて。
人の生の感情がぎらついてて 
不覚にも泣けるのだ(^^)

裏サンデー | モブサイコ100

裏サンデー | コミックス情報




直面(ヒタメン) 三島由紀夫若き日の恋 ★★
(ひためん みしまゆきおわかきひのこい 岩下尚史著、文春文庫)
→ノンフィクション。
金閣寺」執筆前後、
三島由紀夫作家として
ノリにノッていたころ、
彼の愛情を一身にうけた、女性がいた。
彼女はけっきょく三島とは
べつの男性にとついだので
婚家や周辺の人物をはばかり
三島の死後も、
過去のことをすすんで話してはこなかった。
しかし、
夫も関係者も亡くなったいま、
自分の話がなにかの役にたつならと、
著者に 若かりしころの
三島との恋のおもいでをうちあける。
・・・この回顧録の興味深さについては
いうまでもないが
彼女と三島とのデートのエピソードから
戦後復興期の新橋・赤坂・銀座の
花街界隈の雰囲気が
つたわってくるところも、すばらしい。
また、
三島由紀夫という人物については
じつにいろいろ・・・
いろいろと、いわれてきたわけだが
本書はそれらを・・・
もののみごとに蹴散らす傑作だ。
それは、もちろん、
「女性と、肉体関係こみの
交際をしたのだから
三島はゲイじゃなかったんだよ」
とかそんな低次元なレベルでの
蹴散らしかたではない。
そういう話じゃない。
読めばわかる。
おおくの人にとって、おそらく
三島のイメージが激変する一冊。

文春文庫『直面(ヒタメン)三島由紀夫若き日の恋』岩下尚史 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS

 

・・・

 

■笑う、ニヤニヤできる、あったかい気持ちになる
二重生活  ★
(にじゅうせいかつ 小池真理子著、角川文庫)
→小説。
主人公は哲学専攻の女子学生。
彼女は教授のすすめから、
ご近所の、妻子ある男性を対象に
「哲学的尾行」を始める。
彼のことが好きとかいうわけじゃなく、
金もうけが狙いでもない。
ただ目的もなく、尾行するのだ。
結果、男性が
妻以外の女性と深い関係に
あることが判明するのだが・・・。
「こういうことをすると
最終的にどうなるのか?」が
容赦なく、つきつめて描かれていて、
わくわくさせられた。
こんな気持ちになってよい小説だったのか
わからないのだが、
読み終えたとき、なにか、
ほくほくしたような、いい気分になった。

二重生活: 文庫: 小池真理子 | KADOKAWA-角川書店・角川グループ




貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 ★
(きさまいつまでじょしでいるつもりだもんだい 
ジェーン・スー著、幻冬舎文庫
→エッセイか。
著者が、バリバリ働く40代独身女性の立場から
女性にまつわるさまざまな問題・・・
たとえば「女子」という呼称問題、
「(なんでもかんでも)カワイイ~♪」問題、
そして女性にとっての
恋愛、結婚、家族、老後などなど
を ばっさばっさと斬っていく。
貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 | 株式会社 幻冬舎

・・・

■びっくりする、わくわくする、新しい世界が知れる
ゴールデンカムイ ★★
(ごーるでんかむい、野田サトル作、既刊9巻、
ヤングジャンプコミックス)
→マンガ。サバイバルアクション。
明治時代末期の北海道が舞台。
主人公は杉元佐一。
日露戦争
「不死身の杉元」の異名をとった、
強運かつ屈強な人物だ。
杉元は、
アイヌの男たちが秘蔵していたという
莫大な宝物のうわさを耳にする。
宝はある男に奪われ、
その男はやがて当局に逮捕されたが、
獄中で、同房の囚人たちに
宝のありかを示す暗号を託したとか。
そして、その囚人どもが脱獄した・・・
杉元は、ある深刻な事情から、
一攫千金を熱望している。
脱獄囚たちを捕まえて暗号を暴き、
宝物にたどりついてやろうと決意する彼。
しかし、杉元以外にも
宝を狙っている者はたくさんいる。
ライバルとの闘いを勝ち抜いて
宝を獲得することができるのか? 
・・・という物語だ。
杉元は、北海道の山中で
聡明なアイヌの少女・アシㇼパと出会い、
協力関係を結ぶ。
彼女が伝授する
アイヌの生活の知恵の数々、
また、山中で遭遇する
獰猛な野生動物との死闘は、
ときに本筋の
トレジャーハント・パートよりも 
はるかにおもしろい。
むしろ
宝探しはいっそどうでもいいから、
杉元とアシㇼパのサバイバルを
ずっと見ていたい・・・とおもうくらいだ。
杉元とアシㇼパが好きだから
人間同士の 金をめぐる 
みにくい争いで 
死んだりしてほしくないし(^^)
おもしろいので、読んでみて。
ところで本作の監修を担当している
中川裕氏は
アイヌ語アイヌ文化についての
論文や本をいろいろ発表している。
アイヌの物語世界」はわたしも読んだ。
おもしろかった。

『ゴールデンカムイ』公式サイト│集英社

アイヌの物語世界 - 平凡社



ふしぎの国のバード ★★
(ふしぎのくにのばーど 佐々大河作、既刊3巻、ビームコミックス)
→マンガ。
もっと高く評価されるべき。
実在の英国人旅行家イザベラ・バードの物語。
異国の地を多数制覇してきたイザベラは、
時代の変化とともに消え行く
日本文化を記録に残すため、
東京から蝦夷(北海道)まで
前人未到の縦断ルートを進む。
実際、イザベラは1878年に訪日
通訳の伊藤鶴吉を連れたほかは 
ほぼ単独で東京~北海道間を旅し
「日本奥地紀行」などを発表した。
本作の作者はこれが初めての
マンガ作品みたいだが
渡辺京二氏の「逝きし世の面影」に感動して
本作を描くことにしたそうだ。
「逝きし世の面影」は
まぎれもなく、名著だ。
明治初頭の日本には 
欧州をはじめとするたくさんの国から
各界の専門家や学者がやってきた。
彼らはみんな 
やれ日本は自然も街並みも美しい
やれ日本人は親切で礼儀正しい、
まずしいけれど清廉だ・・・などと
当時の日本へのおしみなき賛辞を
のこしている。
のちに日本人が昔の日本のことを
研究するにあたって
これらの外国人たちの「日本礼賛」は 
ほぼ黙殺されてきた。
彼らは ほめすぎだ、
そのまま信用はできない、と。
でも、
「たしかにほめすぎかもしれないが
これもまた一面での真実、そこから
かつての日本の姿がみえるかも」と
当時の訪日外国人の声を
まじめに再評価した人がいた。
それが歴史家・評論家の渡辺京二氏で
彼が著したのが「逝きし世の面影」。
この本において渡辺氏は 
おもに幕末から明治期に日本にやってきた
各界の専門家や知識人たちの
著書、手記を多数引用している。
そのなかに、
くだんのイザベラ・バード
日本奥地紀行」もふくまれてるわけだ。
イザベラはズバズバものをいう人で
盲目的に日本や日本のひとびとを
ほめちぎったりはせず
「どこそこは、たいした場所ではない」
「田舎の日本人は原始人みたい」
とか書いているところもあるが。
・・・話は それまくったが
「ふしぎの国のバード」と
逝きし世の面影」の関係はそういうこと。
さて、「ふしぎの国のバード」は 
画は成長途上だが 熱意がつたわる。
なんといっても 
本作でたのしめるのは
イザベラが驚いたり感心したりすることに
わたしも驚いたり感心したりできる、
ということだ。
どういうことかというと
本作は 100年以上前とはいえ
まぎれもなく母国の姿を描く物語なのだ。
それなのに 現代の視点からみると
もう、ほんとにいろんなことが
今とはまったくちがう。
新鮮な発見がもりだくさん。
イザベラ同様にびっくりしたり
感心したりしちゃう。そこが
このマンガのおもしろいところ。
・・・また、何度もいうように、
画はうまいとはいえないのだが、
それでも
誇り高く好奇心旺盛なイザベラ、
無愛想でひねてるが、デキる通訳・伊藤鶴吉
・・・と キャラがくっきりと 
よく表現されてて、読んでいて
とてもたのしい。
「ふしぎの国のバード」からはいって、
気が向いたら
「逝きし世の面影」「日本奥地紀行」にも
トライしてみるといいかも。
というか きっと そうしたくなる。

ふしぎの国のバード 1巻 | コミック | ビームコミックス | エンターブレイン

逝きし世の面影 - 平凡社

日本奥地紀行 - 平凡社




クリーピー ★★
(くりーぴー 前川裕著、光文社文庫
→小説。サスペンスホラー。
主人公は、大学で犯罪心理学を教えている。
一軒家に妻と二人暮らし。
知り合いの刑事・野上から
とある事件の分析を
たのまれたのをきっかけに、
なぜか主人公の周囲でも、
不可解な事件が頻発するようになる。
野上の失踪、
大学の教え子同士のトラブル、
向かいの家の不審火と、
そこから発見された謎の焼死体。
しまいには隣の家の娘さんが
助けをもとめてくる。彼女がいうには
「うちにいる男は、お父さんじゃない」。
いったいどういうことなのか? 
なにが起こっているというのか?
そして主人公のもとに、
お隣さんの脅威がしのびよる。
・・・いっておくが本作は、
何度も繰り返し楽しめるたぐいじゃない。
1回読み終えたらおわりだ。
また、冷静にかんがえると
終盤はややザツすぎた(読めばわかる)。
しかし、旧年中に読んだ小説では
正直 突出しておもしろかった。
わたしは本作を読んですっかり怖くなり
いまだに 家の施錠を
超厳重にするクセがぬけない。

クリーピー 前川裕 | 光文社文庫 | 光文社

 


青春漂流 ★
(せいしゅんひょうりゅう、立花隆著、講談社文庫)
→インタビュー集。
挫折を体験したのち
おおきなリスクを覚悟しながらも 
大胆に方向転換した若者たち11人と 
著者が語り合う。
基本的に
「人生は長いから、その大胆な方向転換が
正しかったのかどうかは、今はわからない」
ということにされてはいるが、
登場する若者たちはなんと
田崎真也(ソムリエ)、宮崎学(写真家)、
村崎太郎(猿回し師)、吉野金次(ミキサー)
などなど、全員がいまにいたるまで
本書に登場したときの職業のまま、
その筋のスペシャリストとなって
活躍してます。
猛禽類、とくにタカがすきなわたしは
鷹匠松原英俊さんのところなどが
おもしろかった。
宮崎学さんのところも 
こん詰めて働きすぎて
体をこわした話などに共感。
発表から30年が経過している本書だが 
立花隆氏のかずある著作でも
いまだ不動の人気をほこっているそうだ。

『青春漂流』(立花隆):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部




・・・

これですっかり伝えたとか
おもっているわけでは
ぜんぜんないが
まあがんばって書いた。

ふしぎの国のバード
ひいきしすぎだな笑

ま、もしもなにか また 
こういう路線で紹介してみてとか
もっとこういうことが知りたいとかあったら
いってもらえるとすごくうれしい。
だれかの役にたつといいなと願ってる。

わたしアカデミー賞2016。

旧年は、映画をほとんどみませんでした。
本を読んだり、外にでかけて自分の足で歩いていろいろやってみて、
いろいろ見聞きする、といったことを試みていました。
いまおもえば1年の前半は体調があんまりよくなかったのです。
それだからこそ、調子がよいときは、なけなしの元気を
いかに効率的にというか「有意義なことにつかった感」を得られるように
消費するか に、やっきになりました。
それで 2時間すわって観てるだけの映画じゃなく
出かけたりするほうが より「意義がある」などと考えて
そっちを重視したのかなとおもいます。

観た絶対数が少ないので あれなんですが
それでも、今年も、2016年に観たもののなかから個人的に
これはよかったぜ!というのをあげてみます。

まず、2016年に観た映画を
だいたいのジャンルごと、観た時期順にあげます。
旧作も入れてます。
公開された年じゃなくて自分が観た年が2016年かどうかです。
前に観たことあるものでも2016年に観たものは入れてます。
タイトル末尾の「×?回」は、複数回にわたって観た場合の回数です。

■アクション、SF、ファンタジー系 実写
PARKER、SAFE、ザ・ウォーカーデッドプール(×2回)、インデペンデンス・デイ・リサージェンス、シン・ゴジラ(×3回)、スーサイド・スクワッド(×2回)、ジェイソン・ボーン、ジャック・リーチャー、ドラゴン・キングダム、ファンタスティックビーストと魔法使いの旅(×2回)

■ホラー、サスペンス系 実写
残穢~住んではいけない部屋、スキャナー~記憶のカケラをよむ男、インフェルノ

■ドラマ、コメディ系 実写
母と暮せば、シャニダールの花、黒い十人の女、レヴェナント~蘇りし者(×4回)、
ロスト・バケーション、花酔道中、ウォーロード~男たちの誓い

■アニメーション
プチプチアニメ 20周年記念上映会、AKIRA

把握できているものだけだとこのとおり。
(観たことを今思い出せないもの、メモなどで記録してないものは
ここには入れていません)
23本。こりゃ少ない。どうかしてる。よく平気でいられたものだ。
でもこれが現実。



では、各ジャンルごとの総括と いくつか印象にのこったものを
ふりかえりながら 自分なりの最優秀賞を考えてみます。

■アクション、SF系 実写
旧年はなんかあんまり これはっていう、アクション映画が
なかったです。
そういや、2015年も、アクション映画は不作の感がありましたかね。
マッドマックスやミッションインポッシブル、ワイルドスピード
よかったけれど。
でも おととし(2014年)あたりはもっと、2か月に1本くらいは
スゴイのが公開されてたじゃありませんか。
エクスペンダブルズ3、オールユーニードイズキル、ゴジラ
ザ・レイド2、スリーハンドレッド2・・・いろいろと。
今年も待っていたんだけどな、マッドマックスレベルのやつを。
でもあまりなかったですよね。
なぜだったんだ。つまらん。あれば這ってでもみにいったものを。
あと、香港・中国の武侠ものももっとみたかったです。
次世代のジャッキーやジェットはまだあらわれないのだろうか。

デッドプール
Deadpool、ティム・ミラー監督、2016年、米)

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大勢へのカウンタームービー的な位置にある映画が
最近だいすき。
アクションとその映像表現がすごく奇抜で、
主人公がスクリーン越しにこっちにひっきりなしに話しかけてくるという
スタイルがめずらしく、たのしかったです。
また、主人公とその恋人の、アホで下品だけれど
野花のようにしぶとくきよらかな愛が、とってもすてきでした。
それにしてもこのポスター イラっとくるな(^^)!!


シン・ゴジラ
庵野秀明総監督、樋口真嗣監督、尾上克郎準監督、2016年、日本)

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この映画にかんしては ほんとに、おどろかされたし、
なんだかこう、「すべてをひっくりかえされた」ことが快感でした。
この映画に感動したということを 人に話さないうちに死ねない、と
思いましたからねわたし。
どこの映画館でも、まだけっこうやっているようなので
ぜひ、観ていない人は、観に行ってください。
ゴジラ」に興味がなかろうが邦画に興味がなかろうが
そんな今の気持ちはなにもかも、どうだってかまいませんから。
どなたも、だまされたとおもって観に行ってください。
個人的には 石原さとみちゃんが
色っぽく おくれ毛を耳のうしろにかけながら
「それは大統領が決めるの。あなたの国では、誰が決めるの?」
と主人公をみつめるシーンが超好きですな(^^) たまらんです(^^)


「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
Fantastic Beasts and Where to Find Themデヴィッド・イェーツ監督、2016年、英)

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ハリーポッターシリーズは 原作はすぐあきました。
映画はイベントとしてたしなむレベル。
(映画はシリーズどれも十分おもしろかった覚えがあります)
わたしの「ハリポタ」への思い入れはしょせんその程度です。 
しかしこの映画は そんなわたしの心をわしづかみに。
またあの世界に行きたい、とおもって2回も観ました。
エディ・レッドメインがもう、最高すぎ。
この人はまだまだもっと、いくらでもすごい演技ができそう。
ほかのキャラクターもみんなよかった。
クリーデンスと、グレイブスを演じた役者さんはとくに。
終盤の、市街地の復旧シーンがツボでした。

・・・

アクション・SFジャンルの個人的最優秀作品賞は
シン・ゴジラ」ですかね。
いろいろ迷わなかったわけでもないけれど、
けっきょくこれ以外にはないし、本心では
はじめから これに決定していたようにもおもいます。
とにかく 驚かされた映画でした。
わたしは見くびっており、そして失望していたのです、邦画に。
でも、そんな自分こそ、まだまだなにもわかっていやしないのだということを 
シン・ゴジラを観たことによって、知ったのです。
そしてそれを知ったことがほんとに喜びだった。
日本の映画に 思いっきり期待していいんだと。
観てください!



■ホラー、サスペンス系 実写
怖い映画が実はダメなんですが たまにどうしても
観てみたいとおもうものがあると みてしまいます。

インフェルノ
Inferno、ロン・ハワード監督、2016年、米

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これはけっこうおもしろかったです。
人類の殲滅をもくろむ化学者との闘いの物語でした。
天才のカリスマ性と孤独とがおもわれて、
なかなか気の毒であり、考えさせられました。

残穢」もおもしろかったですが、
がまんにがまんをかさねてきた監督のサービス精神が
最後の数分間で暴走してしまったのか
せっかく余韻をのこすわるくないかんじのラストになる予感が
ぶちこわしになってしまっており
ちょっとがっかり。
自分のやってることが自分でてれくさくなって
やらんでもいいことを最後にやってわざと駄作っぽくしちゃう
みたいなことだったのかな、とも 解釈しましたが
たのむからやめて(^^)
複雑で長大な原作の小説をうまくまとめていたし
雰囲気もでててよかったとおもうんですがね。


・・・

ホラー・サスペンス系の個人的最優秀賞は
インフェルノ」にします。
まえに、「記憶探偵と鍵のかかった少女」っていう映画が
ありまして、公開当時ものすごくヒットしたという
話とかはとくに聞きませんが、なかなかおっかなくてグロテスクながら
謎を解明していくようすがおもしろかったんです。
見た目にも観ていてたのしかったですし。
ああいうかんじのやつを観たいです。
インフェルノはその点ちょっとおもしろさが「記憶探偵~」っぽくて
しかもスケールは数段上であり、
なかなかよかったとおもいます。



■ドラマ、コメディ系 実写
映画をみたいけれど 車が爆発したり人の頭がもげたりするやつは
なんだかあんまりみたくない、感動が強烈すぎるものもみたくない
といったときに、テンポがゆっくりめの映画をみたり、
衣装が華やかできれいな女の人がでてくる時代ものなどを
みることがありました。
深く考えたかったり もっとなにかを受け取りたいなら受けて立つが
見た目をさらっとめでるだけでもかまわないし 考えなくてもかまわない
という 深さがありますわな、古い映画には。

「母と暮せば」
山田洋次監督、2015年、日本)

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吉永小百合さんがですね、やさしくて善良なおっかさんなんですけど、
終盤にね、ふと本音をもらすんです。魔が差したかのように。
そしてはっとわれにかえり
「なんてことを言ってしまったんだろう。おかあさんは悪い人。
悪い人・・・」と、自分を激しく責めるんです。
このシーンにほんとに心をうたれました。
おっかさんの よき人であろうとする部分と
でも息子のことをおもうとどうしても腑に落ちず
ためこんできた 哀しい闇の部分とがね
吉永小百合さんの表情にほんっとに出てて。すごかった。
なぜこの人がこんな気持ちにならなくちゃいけないのか?と。

「レヴェナント 蘇りし者」
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、2016年、米)

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これはすばらしかった。
「あいつに絶対に復讐する。殺してやる」、
ただその一心で生きてきた人間が
復讐心を手放すことになったら、そのあとどうやって生きていくのか
ってことだとおもいます。
それを、ここまでして描きだすか!!!
観てよかったです。心がすごく痛かったけれど。
これまで観たことがなかったもの、今後もほかの映画では
もうけっしてみることができないであろうものが みられました。


・・・
ドラマ、コメディ系 は・・・ほんとに迷うし決めたくないといった
かんじでもあるんですけど・・・
でも「レヴェナント」ですね。
「レヴェナント」です。
だってこんな映画ほんとに、みたことないし。
これからもないとおもうから。



■アニメーション
みてないんですよ。みたいものがなかったから。
オリジナル作品がすくなくてすこしも食指がうごきませんでした。
君の名は。」には注目していたのですが、
あまりにも人気が爆発的なものとなり
映画にはすこしもうらみはないのですが
そのさわぎにへきえきして けっきょく観ませんでした。
もうみないだろうなとおもいます。
でも観るかも。わかりません。
AKIRA」は すごかったです。
あんな映画が30年も前にもうあったとは。

・・・

アニメーション部門は観てなさすぎるので
評価できません。
今年はもっとアニメ映画もみたいですね。
できれば完全に映画オリジナル作品をみたい。
日本のアニメって、ほんとスゴイですもんね。




2016年に観た映画をこうしてふりかえりますと、
個人的には
シン・ゴジラ」と「レヴェナント 蘇りし者」のふたつが
完全に別格、不動の同率1位と感じます。
どっちかひとつを選ばないと殺すと脅されても
これ以上には絞れませんな。
だってこのふたつは、作品の方向性が違いすぎるし
どっちもほんとうにそれぞれにすばらしかったですからね。
ということで
2016年のわたしアカデミー賞最優秀作品賞は
シン・ゴジラ」と「レヴェナント 蘇りし者」
に授与ということにします。
本物のアカデミー賞では、2作品同時に最高賞受賞ってこと
これまであったんですかね(^^)?

今年はスクリーンで50本、DVDなども入れて計100本以上は
また映画を観たいなとおもいます。

シン・ゴジラとレヴェナントを超える感動を
与えてくれる作品との出会いをたのしみにしてます。
いまのところ
「メッセージ」に なんだかちょっと期待してます。

www.message-movie.jp


なんといってもジェレミー・レナーがでるし、
あと、「灼熱の魂」の監督が メガホンとったときいているので。
傑作の予感がします。


2016年にわたしをたのしませてくれた映画たちありがとう。
永遠に愛しています。




































2017あけましておめでとうございます/映画の感想-「バイオハザード: ザ・ファイナル  Resident Evil: The Finel Chapter(2016)」-170101。

あけましておめでとうございます。
わたしとすでにつきあいのあるかたにおかれましては
本年もなにとぞ よろしくお願い申し上げます。
つきあいが今はないかたも 偶然にせよなんにせよ
このブログをのぞきにきてくださってありがとうございます。
またいらしてください。


新年の目標とか なにか考えても、
そんな目標を胸に抱いたことがあったことすら
いつも忘れてしまい
すぐ目先のべつのなにかに夢中になってしまうので
だいそれた目標などをここに書くのはやめます。
はずかしいし(^^)


旧年は忙しくって映画もあまりみられませんでした。
でも何本かはみたので 別投稿でそれらの
感想とかをふりかえれたらふりかえりたいです。

旧年は京都に行ったりしたのがたのしかったです。
できればもうちょっと休みがほしかったです。

今年は飛行機に1回くらいはのりたいです。
九州か、東北か、北陸あたりにいってみたいです。
京都にも1回くらいはまたいきます。

映画を年間100本、うちスクリーンで50本くらいはみたいです。

本はたくさん読みます。
今年は仏教の本をひきつづき読みます。

ケガはもうしたくないです。
病気にもならないように気をつけます。



12月27日ごろからカゼをひきました。
カゼは いやなもんです。
最近気づいたんですけど カゼって 薬のんでも治りませんよね。
おとなしくしてあったかくして とにかく寝るだけ。
薬によって症状を抑制しながら 体がもとにもどるのを
待つしかないです。
薬で症状がおさまることと カゼが治ることとは違うんですよ。
そのことに最近気づきました。

でも いうほどたいしたことがないカゼでした。
31日からきょう元旦までの3日間は
山梨の曹洞宗のお寺にいました。
豚汁をつくったり座禅をくんだり
鐘を撞いたりしてました。
それ以外の時間は子どもと遊んだり大人と遊んだり
お風呂にはいったりご飯を作ったり食べたりしてました。
そして元日の昼に子どもたちにお年玉をわたして
帰ってきました。

昨年このお寺にきたときに、やはり居合わせた子どもたちに
お年玉をわたしたのです。
現金じゃなく図書カードをあげました。
正確に何人の子どもがいるか行ってみないとわからなかったので
1000円分の図書カードを10枚購入しておき
お年玉袋を10個用意しておいて
元旦の朝に寺のなかで子どもを発見し次第
包んで渡す形式にしました。
そしたらある子が
お年玉袋の中身をそっとのぞいてから
わたしの顔をこまったような表情でみあげ
「ありがとう・・・でもこれって換金できるよね?」
と真顔で尋ねてきました。
がーん!!!

でも今年も図書カードにしました。
今年は換金できるよね?とは言われなかったのでほっとしました。
この人には期待してもしょうがないと 去年の段階で
おもわれたのかもしれないです(^^)

来年は現金にしたほうがいいかなあ・・・
でも、なにか、現金だと、もっとたくさん包まなくちゃ
いけないような気がするんですよ。
それがわたしの感覚では最低でも
1人3000~5000円じゃないとだめというかんじなんです。
だめというのは、「すくなくともそのくらいの金額じゃないと
こちらの『ほんの気持ち』が伝えられない」ということです。
そして、それだとわたしの稼ぎじゃ もし子どもが10人以上もいた場合
とてもじゃないがみんなには用意してあげられないんです。
でも、図書カードなどの金券だと、
金額が大きくなくてもいいというかんじがするんですよ。
金額にかかわらず、贈ると「ほんの気持ち」感がうまくだせるような
かんじがして、こっちとしては気がラクなんですよね。
わたしの感覚の話にすぎないんですけど・・・
稼ぎがもっとよくなるまでは
図書カードにしますかねえ。わたしは。
子どもたちに活字と友だちになってほしいとも、ちょっと思うし。
あんまり本にハマるのも 困りものだけど。

とてもたのしい3日間でした。
ただ、かなり寒かったです。
地元に帰ってきたときほんとにすごくあったかく感じました。

帰ってきたときまだ夕方も早い時間だったので、
映画館にいって正月早々 映画を1本みました。

バイオハザード: ザ・ファイナル
原題:Resident Evil: The Finel Chapter 
ポール・W・S・アンダーソン監督
2016年、英・仏・加・独

f:id:york8188:20170101213826j:plain


movie.walkerplus.com


ちなみにバイオハザードシリーズはこれまでどれひとつとして
みたことがありません。
ゲームも1回もやったことがありません。

でも観ました。
まあだいたいいままでに何があってどうしてこうなったかという
ストーリーの流れみたいなものは
想像できないこともなかったし
わからないことをわからないままにして観ていても
とくに不便は感じませんでした。

感想としてはすごくおもしろかったです!

ホラーなんだろうけどホラーというよりはどっちかというと
アクション映画だなとおもいました。
主演のミラがとにかくかっこいい! 強い! 頭が切れる!
装甲車を運転してた、中国系か韓国系の、敵の部下がいて、
彼が親分に命じられてアリス(ミラ)と激しい格闘をくりひろげる
シーンがあったんですけど、
その部下を演じた役者さんが セリフはそんなになかったけど
バトルシーンがかっこよくてなかなかよかったです。
あんまりくわしくないですがテコンドーかクンフー
やっているのかもしれません。
でもその敵の部下は頭脳戦でアリスに最終的に負け、
自分がアリスをいじめたときとまったくおなじやり方で
アリスに仕返しされて、いたい目にあっていました。

アリスにくらべると非力なようにみえる女性の戦士でも、
わけわからないところに閉じ込められたりしても慌てず騒がず
即席の爆薬で脱出口をこじ開けてて、かっこよかったです。
わたしはあの女性はすぐ死んじゃう系かとおもったんですけど。

アンデッド以外の強いキャラは、アリスをはじめ、
みんなハードなバトルアクションをやっていて、
すごくみごたえがありました。
マーシャルアーツ系のアクション映画がすきな
自分としては2時間たっぷりたのしめました。

アリスが、最後に世界を救う手立てを実行するシーンでは
アリスの美しい表情が印象にのこりました。
わたしはなんといってもこれまでのシリーズをみてないので
あれなんですが、
たぶん彼女はこの瞬間のために何年もほぼたったひとりで
闘ってきたんだとおもうんですよね。
彼女がやらなくちゃいけない「世界を救う手立て」とは、
それをやるとアリス自身も死んでしまう性質のものなんです。
アリスはそれでも実行したんですね。
で、その決まりの通り彼女もまもなく死ぬというシーンなんですけど、
「でもわたしはこれまでずっと この景色を見るために闘って
きたんだ。わたしはまちがったことをしたわけじゃない。」
というような万感がアリスの表情からうかがえて、とても
美しかったです。いっそ可憐。
ミラは実年齢はもう40代にもなるころかとおもうんですけど
なんだか大人にしては 表情がどこか清新っていうか
なにかこう すれてない? 
すごくスキっとした表情でした。
つまり慣れている女優さんだったら こういうシーンのときは
こういう顔はしないだろうな。っていう顔を、
ミラはしたんですよ。
まるで18歳や17歳くらいの若い女優さんみたいな
演技をしてたんです。
それがなんだかすっごくよかったんですよね。


この映画で 不満だったところがあるとすると、

・ローラが超早めに消えた。
ラクーンシティの高層ビル廃墟で出会う仲間たちが
 どいつもこいつも安っぽく小物っぽい。

くらいです。
ローラのことについてはぜんぜん
いうほどなにも思ってはいないんですが
彼女が出演することに関してずいぶん前からメディアが騒いでたから
どんな重要な役を与えられているのかたのしみにしていたんですけど
すごく早めに死んでて なーーーーーんだ、とおもいました、っていう。
でもローラはがんばってましたよ。

ミラがラクーンシティで出会い、
その後行動をともにした仲間たちがいました。
彼らは結果的には闘いのなかで死んでいきます。
が、本来それはあとでわかることです。
最初からわかっちゃいけません。
物語の流れ上 必要な場合をのぞけば、
ふつう物語の登場人物ってのは、
自分がこの先の闘いとかで死ぬのかどうか
知らないで生きているんだし。
だからその物語を観る人たちにも
そういうことを最初からわからせちゃいけないとおもうわけです。
でもラクーンシティの仲間たちは全員 演技があまりにも 安っぽくて
すこしも存在に重みがなかったので あ、死ぬなこの人たち、って
はじめからわかっちゃいました。
脇役が締めないと映画はシャンとしないとおもうんですよねー。
アビゲイルルビー・ローズ)はかわいかったですが。
ほかはほぼ全員しょぼかったです。

でもローラの出番が超みじかかったことも
脇役がぱっとしなかったことも
ささいなことかもしれないです。

なんといってもミラがかっこいい!強い!
アクションがいい!
話がなかなかおもしろかった!
ゾンビが超いっぱいいて怖い!
変な巨大な怪物とかも出てくる!

すごくたのしい映画でした。
わたしはもう1回くらい観てもいい気分です。






 







弾丸京都20161204の思い出

11月に入ったころからなんだかケガがふえてきた。
今年はずっと病気もケガもあんまりしないでやってこられていて
かなりいいかんじだったのに、残念だ。
でも、病気のほうは、運よく、ほとんどしなかった。
年内ずっとこの調子で体調を崩さずにいきたい。

12月4日に、ひとりで京都に行ってきた。
朝5時に起きて6時すぎの新幹線に乗り、8時すぎごろ京都に着いた。

1日地下鉄・バス乗り放題のカードを買い、蹴上に出て、
南禅寺永観堂金戒光明寺平安神宮の順に
まわってみた。

南禅寺は豪壮でほんとにいい。でかい。たまらん。

臨済宗大本山 南禅寺

でかいことはいいことだ。
まだ紅葉をすこしは楽しむことができた。
ちょっと枯れかけていたけど十分に美しかった。

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しかしわたしはほんとに写真がへたくそだな。
感動すらおぼえるね。

シーズンはおわっていて どこもとても空いていた。
塔頭の金地院もしずかでよかった。

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水路閣につながる階段をのぼりきったところで、
すれちがいそうになった年配の男性が
すごいうめき声をあげて突然倒れた。
どうも ひきつけか・・・
てんかんの発作のようにお見受けした。
みたことがあるわけじゃないんだけど。
激しいけいれんで、階段から転がり落ちかねなかった。
まわりにいる人たちと協力して
落ちないところまで運んでさしあげたり
舌をかまないようにしたほうがいいと どこかで
聞いたおぼえがある気がして
ご本人のズボンの腰のところにさげられていたタオルを
口に入れてあげたりしてみた。
そうこうやっているうちに
150メートルくらいはなれたところに
お寺の関係者っぽい作務衣の女性が歩いているのがみえた。
それをみたわたしは「救急車を呼んでくださーい!人が
倒れましたー!」とさけんだ。
女性は気づいたらしく腕を大きくふってこたえてくれ、
お寺にかけこんでいった。
5分もしないで救急車がきた。
超あせった。
でもあとは救急車の人にまかせた。
水路閣はみないで南禅寺をあとにした。
永観堂にむかうとちゅう、おもったのは、
わたしこの1年でいちばんでかい声だしたな ということだった・・・
というかこの日はじめてしゃべった言葉が
「救急車を呼んでください」だったことに気づいた。

永観堂のお堂あたりにガイドブックを置き忘れてきた。

www.eikando.or.jp



でも予備にもう1冊もっていたので取り戻すことは断念した。

永観堂のまんまえあたりにあるお蕎麦屋さんで
お昼にそばを食べた。そば最高。
ユズのいい香りがした。

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その近くのおみやげ・骨董屋さんで
置き物のちいさなカエルがやたらとこっちを見てきたので
買ってほしいのかな?とおもって買った。
カエルの置き物はずっとほしかった。
ほんとは、カエルが釣りをしている姿の置き物があればなーと。
京都の骨董屋さんでわたしにガンをつけてきたカエルは
釣りはしていない。岩の上で足を組んで読書をしている。
でもずいぶんこっちを見てきたので、
買ってほしいのかな?とおもって買った。

永観堂から金戒光明寺にむかう道中で転んで足をひねった。
これはやや痛かった。でもがまんした。
ムリしないでバスに乗ってしまえばよかった。

金戒光明寺もでかくてよかった。

www.kurodani.jp



通俗的な空気があるのも、なんかいいんじゃないか。
たまたま はぶりのいい檀家さんの大きな法事がおこなわれていて
にぎやかだった。
本堂の右わきにある阿弥陀如来さんが意外とでかくてきれいだった。
だれもみてなかったけど。

金戒光明寺から歩いて平安神宮に向かった。

www.heianjingu.or.jp



平安神宮はお宮よりもまわりの庭園のほうが見がいがあった。
お宮は海外からの観光客がやたらとおおくて そうぞうしく
ややヘキエキした。
庭園には、有名な古典的文学作品に登場する木々や花々が植えられていて、
その根っこのところに、作品のなかでその木や花が登場するシーンの
一文が、小さなボードに書かれておいてあった。
まあたとえばオミナエシだったら
「をみなへし秋の野風にうちなびき・・・」
とか。
いや、あくまでもたとえばね。ほんとにこの歌がオミナエシ
花壇のところに置かれていたかは覚えてないよ。
いまパッと思いついただけだから。
ていうかオミナエシがあったかどうかも覚えてない(^^)

まあそのボードをひとつひとつ読むのがおもしろかった。
どの作品も基本的に古式仮名遣いで原文がそのままかかれているのに
なんで源氏物語だけ現代語訳の文なのか謎だったけど・・・

でもいちいち読んでいたら寒くなってきたからとちゅうでやめて出てきた。

そのあと、平安神宮のはすむかいあたりにある
ロームシアター京都というコンサートホールに向かった。
スターバックスで買った飲み物とおやつを食べながら、
しばらく休憩した。

rohmtheatrekyoto.jp

15時にホールに入った。
じつをいうと今回の京都ゆきはこれが目的。

京響プレミアム 岸田繁「交響曲第一番」初演 京都公演 | 夢番地


くるり岸田繁さんが初めて交響曲を作ったというんで。
東京でも公演がおこなわれる(もうおわったかな。)のだが
そっちは仕事でいけないので、
世界初演となる 京都公演のほうに行こうと考えたわけだ。
ちょうど、オーケストラの生演奏がひさびさに聴きたいと
おもっていたところだったし
くるりも、わたし好きなので。

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聴いた感想としては、
正直、期待したほど、よいものではなかった。
変化にとぼしくのっぺりとして冗長。
美しい和音が気に入って何度も何度も響かせてみたくなったみたいな
とくに意味のないリフレインや、必要性のかんじられない
編成的な厚みがやけにかんじられてちょっと聴いていてしんどかった。
たいくつでちょっとねむくなった。
なんにせよもっとチャレンジ精神に満ちた
変化と躍動感のかんじられる音楽が ききたかったような気がする。

Tanz Walzerなどでききおぼえのある楽曲が
断片的に盛り込まれていて、それを聴くのはたのしかったが、
アレンジがどうもださかった。
ブレーメンとかもっとカッコイイ曲だとおもったんだが。

全体的なイメージとしては、
音楽的才能のある男子高校生が
はじめて書いた交響曲 みたいなかんじをうけた。
説明を求められても困る。
ただそういうふうに感じたのだ。

やっぱり岸田繁はロックだよ。
でも、べつに、本人がやりたければまた
オーケストラ曲にチャレンジすればいいんじゃないかとおもう。
「きくだけ耳障りな不愉快な音楽だ」とまで
感じたわけではないし。作り手の熱意は感じられたので。ひしひしと。
やればやるだけもっと良くなるのかもしれないし。

京都市交響楽団の演奏はかなりよかった。
ああいうちょっとメタリックな響きのするオーケストラは
たまに聴くぶんにはたのしい。いつもだとしんどいけど。

ホールを出たときには相当本降りの雨がふっていてまいった。
暗くなると街の様子も変わって見えてどこがどこだかわからんし。
ホールのまわりをむだに一周して 交番を発見し
はたちそこそこの女性のおまわりさんに
京都駅にいけるバスがとまるバス停の場所をおしえてもらい
バスをつかまえてようやく駅までもどれた。
おみやげを買ってぶじに京都を出発した。

最後だけちょっとあせったが
基本的になんの問題もなく1日 京都を楽しめた。
最大の目的であったコンサートについては
微妙な感想をもって終了してしまったが
朝からずっと京都観光をゆっくりと楽しめたのはよかった。
新幹線ではちょっと寝てしまった。

また来年1回くらいは京都にいきたい。
こんどは宇治あたりをまわりたい。